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2014年3月28日 (金)

町会議員に対する除名処分が違法であるとして取り消された事例

名古屋高裁H25.7.4   

町議会議員に対する除名処分は違法であるとして取り消された事例 

<事案>
議会が陳謝を求めた⇒拒否⇒町議会の決議により除名処分。

本件除名処分は違法であるとしてその取消しを求め
同処分によりXの名誉を毀損されたとして、Y(美浜町)に対し、国賠法1条1項に基づき損害賠償を求め
未払議員報酬の支払を求めた

<原審>
Xの本訴請求を棄却 

<判断>
(1)本件発言(「農地転用に絡み、町議や町長が「せんべいを持って農業委員会を回っていると聞いた」旨の発言)は、ことさら事実をねじ曲げて脚色するなどして、議員や議長をおとしめようと意図していたとはうかがわれないし、虚偽発言と断じることはできない

(2)本件除名処分においては、①本会議で決議された謝罪の懲罰により議長に謝罪文の朗読を命じられたにもかかわらず朗読を拒否したことのほか、②議会運営委員会の決定に背いて謝罪文の提出及び謝罪の発言を拒否したことをも懲罰理由とする。
but
②については、議会運営委員会の審議事項は地方自治法に法定されており、議員に対して謝罪の要求をすること等は審議事項ではない懲罰理由とはならない

(3)処分の相当性について、
①の本件陳謝処分は適法になされている⇒謝罪文の朗読を拒否したことは懲罰事由となる。
but
本件発言は虚偽発言と断じることはできない
Xは懲罰を受けるような問題ではないと思ったなどと発言したにとどまり、さらなる問題発言をしたり、議会の運営を妨げるなど不適切な行動に出たとは認められない
本件陳謝処分に応じなかったことに対しては、1度は出席停止処分が相当とされたにもかかわらず、特段の事情も認められないのに除名処分に変更
懲罰事由とならない事情が考慮されている。

本件除名処分は、社会観念上著しく妥当性を欠くもので、議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものとして違法

Xの除名処分の取消しと議員報酬の支払請求を認容。
町議会議員らが本件除名処分を決議したことに過失はない
⇒損害賠償請求は棄却。

<解説>
地方公共団体の議員に対する懲罰決議について行政争訟を提起することについては、積極(判例)。 
懲罰は、議会の自由裁量に任されているとする裁判例もあるが、裁量権の限界を超える場合には違法となる。

判例時報2210

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