固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格の適正
最高裁H25.7.12
1.固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格が固定資産評価基準によって決定される価格を上回る場合におけるその登録された価格の決定の適否
2.固定資産評価基準に従って決定される基準年度に係る賦課期日における土地の価格とその適正な時価との関係
<事案>
府中市長により決定された土地課税台帳に登録された上記敷地権の目的である各土地の平成21年度の価格を不服とし、府中市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出⇒棄却⇒Y(府中市)を相手に、その取消等を求める事案。
<判断>
①土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば、その登録価格の決定は違法となる(最高裁H15.6.26)。
②土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が地方税法388条1項の固定資産評価基準(「評価基準」)によって決定される価格を上回る場合には、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず、その登録価格の決定は違法となる。
③評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、かつ、当該土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には、その登録価格は、その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認される。
⇒
土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格の決定が違法となるのは、当該登録価格が、
①当該土地に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るときであるか、あるいは
②これを上回るものではないが、その評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものではなく、又はその評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情が存する場合であって、同期日における当該土地の客観的なな交換価値としての適正な時価を上回るとき。
原審は、上記①の場合に当たるか否かについての審理判断を経ることなく、また、上記②の場合に当たるか否かにつき本件敷地部分の評価において適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであるか、その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情があるか等についての審理判断を経ることなく、Xの請求を棄却。
⇒審理不尽の違法がある。
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