道路の設置・管理の瑕疵(否定)
広島高裁松江支部H25.1.30
自動車が路面の凍結によりスリップしてガードレールに衝突した事故について、道路の設置又は管理の瑕疵が否定された事例
<事案>
Xは、本件市道の設置又は管理に瑕疵があったと主張し、Yに対して、国賠法2条1項に基づき、損害賠償を請求。
<判断>
①本件事故が専ら路面の凍結によって不可避的に発生したものであるとのXの主張事実は認められない。
②本件事故現場付近では、路面凍結後原因とする事故の報告はなく、路面凍結が発生し易くなっていたという事実も認められない⇒路面が凍結して車両の運行に危険を来す客観的な蓋然性は発生していなかった。
③本件市道の設置又は管理に瑕疵があったと認めることはできない。
⇒
Xの控訴棄却。
<解説>
道路の設置・管理の瑕疵とは、「通常有すべき安全性を欠いていること」をいうと解せられているが(判例)、その安全性の欠如の有無は、その構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的、個別的に判断すべき。
安全性の欠如については、管理者にとって予見可能性、回避可能性があったか否かの観点からも考慮すべき⇒通常の用法に即しない行動の結果生じた事故については管理者に責任はない(判例)。
http://www.simpral.com/hanreijihou2013kouhan.html
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