前科と常習累犯性の認定(否定)
東京高裁H24.12.3
犯行の動機、態様等から、窃盗を反復累行する習癖が発現しているとみることはできないとして、常習累犯窃盗罪の成立を認めた原判決が破棄された事例
<原審>
被告人の本件犯行までの同種前科の内容や本件犯行の動機、態様等に鑑みれば、被告人には自身が置かれた状況に安易に流されて金目のものを盗むという習癖が容易に見て取れるから、常習として本件犯行に及んだものと認定され、常習累犯窃盗罪の成立を肯定。
<判断>
被告人の前科関係について具体的に検討し、直近の3回の受刑は窃盗罪によるものではなかったこと、前科にかかる窃盗は2年弱の間に主に共犯者と共に繰り返し行った乗り回し又は換金目的による自動車窃盗の事案であり、そのような犯行を繰り返す中で窃盗を反復累行する習癖が形成されていたものと認められるのに対し、本件犯行は空腹に耐えかねて食事代等の現金目当てに突発的に及んだ侵入窃盗の事案であり、動機のみならず、殊にその態様において前科にかかる犯行とは著しく異なっていること、前記前科と本件犯行との間には8年間もの隔たりがあること等
⇒
被告人が窃盗を反復する習癖を保持し続け、その発現として本件犯行を行うに至ったとみることはできない。
⇒
常習累犯窃盗罪の成立を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある。
http://www.simpral.com/hanreijihou2013kouhan.html
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