時価による土地売買による換金の利用の賄賂性(肯定)
最高裁H24.10.15
売買代金が時価相当額であったとしても、土地の売買による換金の利用が賄賂に当たるとされた事例
<事案>
当時福島県知事であった被告人Aとその実弟である被告人Bが、共謀の上、同県発注に係るダム工事を建設会社が受注できたことの謝礼の趣旨で、同社の下請会社に、被告人B経営の会社所有の土地を買い取ってもらい、土地売却による換金の利益の供与を受けたという収賄、及び被告人Bと他の共犯者による競売入札妨害からなる事案。
<決定>
本決定は、結論として上告を棄却したが、弁護人の所論に鑑み、本件の土地売買による換金の利益が賄賂に当たるか否かについて判断を示した。
原判決の認定を踏まえ、福島県知事である被告人Aとその実弟被告人Bが、共謀の上、被告人Bが代表取締役を務める会社において、土地を早期に売却し、売買代金を会社再建の費用等に充てる必要性があったにもかかわらず、思うように売却できずにいる状況の中で、福島県が発注した建設工事受注の謝礼の趣旨の下に、受注業者の下請業者に当該土地を買い取ってもらい代金の支払を受けたという事実関係の下においては、売買代金が時価相当額であったとしても、当該土地の売買による換金の利益が賄賂に当たると判断。
<解説>
賄賂とは、公務員の職務に対する不法な報酬としての「利益をいい、その利益は、財産上の利益にとどまらず、およそ人の需要・欲望を満足させるに足りるものであれば良い(判例)。
http://www.simpral.com/hanreijihou2013kouhan.html
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