互いの均衡点を探せ・・・ナッシュ均衡(互いの均衡点を探せ)② ゲーム理論(7)
5.夫婦の戦いと肝試し
複数のナッシュ均衡がある点では狩りのゲームと同じ。
プレーヤー同士に利害の対立する要素がある(狩りのゲームと違う)
夫婦の闘い:
妻はAの映画を観たい。
夫はBの映画を観たい。
1人で見に行くよりは、一緒に見に行く方がいい。
狩りのゲームにアレンジ:
フレッド(バイソン(3)より鹿(4)がいい)とバーニー(鹿(3)よりバイソン(4)がいい):
「自分は断固として鹿を選ぶ。譲るつもりはない」という意思をバーニーに伝え、その決意を信じさせる⇒バーニーとしてはフレッドの意思に従うのが最善の策。
butそれには2つの障害:
①お互いが行動を選択する前に意思を伝えるのが難しいこと。
(理想的なのは、自分の意思を相手に伝える一方で、相手の主張を聞かないですむ意思伝達方法。)
②「断固とした意思」がはったりでないと相手に思わせることが難しい。
双方が望ましいと考える結果は別々だが、交渉が全面的に決裂するよりは何らかの合意に達したほうが好ましいとお互いに思っている。
(実質的には交渉のゲーム)
ex.
1日おきに2つの猟場で交互に狩りをする。
コインを投げてその裏表で猟場を決める。
チキンゲーム
両方北⇒0
両方南⇒1
南(1/2)と北(2)
全く均衡を見出せないよりは何らかの均衡に達するほうが望ましいという点では2人の意見が一致する反面、どの均衡が望ましいかという点では意見が食い違う。
双方が2つのナッシュ均衡のうちで自分にとって好ましい方を選ぶと、お互いにとって最悪の結果を招く。
妥協がまとまる可能性はある。
ex.
2人が北と南で交互に狩りをする。
コイントスで猟場の住み分けを決めてもいい。
チキンゲームでは、それぞれのプレーヤーの置かれた状況(選択肢とそれぞれの戦略を取ったときの損得)がまったく同じでも、それぞれのプレーヤーが同一の行動ではなく異なる行動を取る場合にナッシュ均衡が成立。
6.哲学者ルソーの鹿狩り
囚人のジレンマ:相手の選択に関係なく自分にとって最善の行動が決まっている。
ルソーの鹿狩りのゲーム(「確信のゲーム」):バーニーと同じ行動をとることがフレッドにとって最善の行動。
7.連続的消去法
両プレーヤーの行動がともに最善の行動であるマス目が見つかれば、その戦略がナッシュ均衡を形成。
ナッシュ均衡の見つけ方:
①相手が絶対劣位の戦略を取る可能性を除外して考える。⇒利得表を小さくできる。
(あるプレーヤーにとって戦略Aが常に戦略Bより悪い結果を招くとき、戦略Aは戦略Bに対して絶対劣位の関係にあるという。)
②相手のどの戦略に対しても最善の対応になりえない戦略の選択肢があれば、それを除外して考えればいい。
戦略Aが戦略Bに対して絶対劣位の関係にある場合、戦略の選択肢がAとBの2つだけであれば、Bは絶対優位の戦略。
戦略の選択肢が3つ以上あれば、別のCという戦略との関係ではBが優位かどうかわからないから、絶対優位の戦略とは限らない。
ルール3:絶対劣位の戦略と最善の戦略でない戦略を考慮の範囲からはずしたうえでさらに考慮を進めよ。
ルール4:絶対優位の戦略をさがし、絶対劣位の戦略を消去してもまだ解決にいたらない場合は、利得表のすべてのマス目を検討し、どちらのプレーヤーにとっても最善の行動となる戦略が同居しているマス目を探せ。その戦略のペアがそのゲームのナッシュ均衡。
8.戦略の選択肢が無限にあるゲーム
ナッシュ均衡はグラフで表示できる。
9.ナッシュ均衡は役に立つのか?
ナッシュ均衡:
どのプレーヤーの行動も相手の行動に対する最善の行動。
ナッシュ均衡以外のシナリオでは、少なくとも1人のプレーヤーが最善でない行動をとらなければならない。
ナッシュ均衡が複数ある場合は、そのうちのどれが均衡点かを見いだすために別途の方法論が必要となる。
実験と観察の両方の手法を併用して、それぞれから学ぶ必要がある。
事例では、価格が販売数にストレートに反映するものと想定。
but
現実世界:
企業は価格だけで競争しているわけではない。
宣伝や投資、研究開発などでも競い合っている。
実際の企業経営者の行動の目的は、利益(や株主価値)の最大化だけではない。
競争は何年にもわたる⇒逆戻り推量とナッシュ均衡の適切な組み合わせ方も見出す必要。
様々な要素が影響。
実験:
「受けるか拒むか」型のゲーム(一定の金額を2人でどう分割するかを一方のプレーヤーが相手に提案し、もう一方のプレーヤーはそれを受け入れるか拒むかの選択肢しかない)
~提案者の提案内容は概して気前がいい。
囚人のジレンマゲーム
~理論上想定されるよりはるかに頻繁に人々が協力的行動をとる。
⇒
公共心や利他精神
公正さ?
戦略的なやり取りを分析する際は、いまでも基本的なナッシュ均衡の分析を出発点とすべき。(その作業だけで結論にたどり着ける場合もある。)
そのうえで、ナッシュ均衡のの考え方で導き出されるシナリオと結果が異なる場合は、結果がどう違うのか、なぜ違うのかを考える。
10.[ケーススタディー]
2分の1ゲーム
● ナッシュ均衡:次の2つの条件を満たすもの。
①すべてのプレーヤーがほかのプレーヤーの行動を予測したうえで、それに対して最善と考える行動を選択すること。
②すべてのプレーヤーの予測が正しい事(どのプレーヤーも、ほかのすべてのプレーヤーが予想しているとおりに行動すること。)
ケース・ディスカッション ゲーム:
XとYは、それぞれ0~100の間の数字を1つ選ぶ。
自分の数字が相手の数字を半分に割った数字に近い方が勝ち。
相手が選ぶ数字は0~50の間。
相手が100を選ぶはずはない(それでは勝てない)。相手の最善の選択は0~50の間。⇒私たちの最善の選択は0~25の間。
~相手が最善の行動を取ることを前提に、それに対して最善の選択をした。
相手も、私たちが50より大きな数字を選ぶはずがないと気付く⇒相手も25より大きな数字を選ばない⇒相手が選ぶ数字は0~25の間。
選んだのは12.5.・・・・。
電話が切れてかけ直すか、かかってくるのを待つか?
~
同程度に魅力的な2つのナッシュ均衡がある。
この種のジレンマの解決方法は、その社会規範によって決まる場合が多い。
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))
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