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2013年9月 2日 (月)

ジレンマをどう解決するか・・囚人のジレンマ② ゲーム理論(5)

7.実験の「意外な」結果 実験を通じてわかった重要な点。

協力はきわめて頻繁に行われる
(1回限りの関係でも変わらない)
テレビ番組のフレンド・オア・フォー:
2人とも「フレンド」⇒賞金は山分け。
1人が「フレンド」1人が「フォー」⇒「フォー」が独り占め。
2人とも「フォー」⇒どちらももらえない。

相手がどちらにせよ「フォー」とかけば、相手と同等かそれ以上の賞金を手にできる。
but出演者の半数近くが「フレンド」を選んだ。

同じペアに単純な囚人のジレンマのゲームを繰り返しプレーさせた場合、相互に協力的な行動をとるようになるケースが多い
双方が相手を出し抜いてやろうと機会をうかがっていても、お互いに本性を隠し合うことにメリットがある。

大勢のグループでの囚人のジレンマのゲーム:
生産量1か生産量2か
生産量2を選んだほうが多くもらえるが、そういう学生数が増えれば増えるほど、学生全体で得られる金額の合計が減少する。
(全学生がそれぞれ自分の利益最大にする戦略⇒結局各人は、50セントずつ受け取る。学生が共謀して自分の利益を最小にする戦略⇒全員が1.08ドルずつ受け取れる。)

カンパのゲーム:
ABCDの4人に10ドルずつ支給して、プレーヤーはそのうち任意の金額を参加者全員の「共同募金」にカンパし、残りを自分のものにしていい。主催者が共同募金の金を2倍に増やし、参加者に均等に分配。

Aにとって絶対優位の戦略はカンパをしないこと。
全員が絶対優位の戦略を選択⇒共同募金の金額は空っぽで、4人の持ち金は10ドルのまま。
全員が10ドル全てをカンパ⇒1人当たりの取り分は20ドルに。

実世界でも、メンバーが自発的に犠牲を払えば何らかの共通の利益が得られる反面、犠牲を払わなかったメンバーも恩恵に欲してしまうという状況は起こり得る。
ex.村の水害対策工事や天然資源の乱獲など

もし、全員がほかの人たちの犠牲が生み出す恩恵にだけあずかろうとすれば、払われる犠牲はごくわずかにとどまり、全員が損をする

8.協力を実現する方法 

協力を成功させるための前提条件:

裏切りの発見
裏切りを処罰するために、裏切りを迅速・正確に突き止める。
ex.航空会社は他社の航空運賃にいつも目を光らせていて、アメリカン航空がニューヨーク=シカゴ便の運賃を引き下げれば、ユナイテッド航空は5分もたたないで察知できる。

処罰の性格
ex.
刑務所を出所した時に制裁。
ゲームが繰り返される結果、裏切れば先々に損をする。
この仕組みが抑止効果を発揮するかどうかは、裏切り行為によって得るものと失うものの大小で決まる。

明確性
裏切り行為の定義とそれに対する②処罰の内容
全てのプレーヤーが明確に理解。

処罰の確実性
裏切れば処罰を受け、協力すれば報われると、すべてのプレーヤーが確信できることも不可欠。
WTOの貿易自由化協定違反など、調査に時間がかかり、最終判断は力関係や外交上の駆け引きに左右される面が大きい⇒抑止効果を発揮しない可能性が高い。

処罰の厳しさ
現実の世界では間違いがおきる可能性
処罰の厳しさは抑止効果を発揮できればよし
会社が存亡の危機にさらされている場合の値引き販売など極端な場合は、ある程度の裏切り行為を容認してもいいかもしれない。

繰り返し
①金利:
金利が高いと将来の利益の価値が相対的に下がる⇒今の裏切りは割に合う。

②関係の継続性

③将来の市場の見通し:
市場が拡大⇒将来の協力関係が崩れた場合に失うものが大きいので、裏切ることに躊躇する傾向。
市場がじり貧⇒将来失うものが少ないので、いま手に入るものを手に入れようという発想。
好調期と不調期の繰り返し⇒一時的に需要が大きい時期に裏切りが起きやすい。

④プレーヤーの構成:
プレーヤーが同じ⇒協力が維持される傾向が強い
協力することに利害関係のない新参者⇒裏切りを思いとどまる可能性が低い

9.カント流哲学で問題解決?

囚人のジレンマでは、あるプレーヤーの行動は相手の行動にまったく影響しない。
but
人々は、自分の行動が(たとえ相手に見えなくても)相手の選択に影響を及ぼせると思っている

実験:
相手方裏切ったと聞かされた⇒協力的行動は3%
相手が協力したと聞かされた⇒協力的行動は16%
相手の行動についいて知らされていない⇒協力的行動は37%にはね上がった。

「擬似魔術」的思考
~自分が何らかの行動を取れば、相手の行動に影響を及ぼせるという発想

⇒相手の行動を知らされていない場合に、自分の行動が相手の行動に影響を及ぼせると考える。
but
この発想は全く理屈に合わない。
どう考えてどう振る舞おうと、相手の思考と行動にはまったく影響を及ぼせない。

ある社会のメンバー全員がこのような「疑似魔術」的思考を実践⇒囚人のジレンマの多くを回避でき、多くの利得を手にできる。

10.ビジネス版囚人のジレンマ

●業界のライバル業者。
共通の利益を最大限高めるには、カルテルを形成して高い価格を維持するのが望ましい。
but
自分だけの利益を考えれば、協定を裏切って価格を引き下げ、相手から顧客を奪う方が得をする。
このような状況で協力関係を維持するにはどのような行動をとれるのか?
裏切りを発見し、効果的な処罰のメカニズムを考案することにより、協力の可能性を高めることはできる。
ライバル社が頻繁に会合を開いてどのような行為が裏切りに該当するのかを話し合えば、協力を実現しやすい。
but
それは社会全体にとって悪い結果を招く。

米国では、シャーマントラスト法により「取引を制限する」共謀が禁止されている。
明示的な合意だけでなく、価格維持の効果をもつ明示的・黙示的な合意は、その主たる目的に関係なくすべてシャーマントラスト法違反に該当。

●小売業であれば、最低価格保証や最恵顧客条項などのメカニズムを用いることで、抜け駆け的な値下げを発見し、迅速かつ自動的に報復を行いやすくできる。
同一商品をもっと安く売っている店があれば、その差額を返金する。
⇒裏切りがすぐばれる。

●PAH社:ライバルのロールス・ロイスのエンジンより8%高い燃費効率を約束。
その基準を満たさなければ、燃費の差額相当の金額を返金すると保証。

最恵顧客条項:最恵顧客待遇を約束した顧客に対して、すべての顧客のなかで最も安価な価格を適用することを保証
~すべての顧客に値引する必要⇒値下げのコストが大きくなりすぎる⇒裏切りによる利益を小さくし、カルテルを維持する機能をもつ。

11.共有地の悲劇 

共有地の悲劇:1人ひとりはたくさん魚を獲ったほうが得をするが、その行動のつけは社会全体もしくは未来の世代が払わなくてはらない状況。

地球温暖化問題:自分の温室効果ガスを排出量を減らしても得をする人はいないが、誰もが私利私欲を追求して温室効果ガスを大量に排出し続ければ全員に重大な影響が及ぶ

多人数版の囚人のジレンマ

対策が成功するための前提条件
目指すは、資源の乱開発と急激な枯渇を避け全体の利益に沿って共有の資源を保全しながら利用する手立てを見出すこと。

誰がゲームの参加者なのかを決める明確なルールがあること。
(誰がその共有地を利用する権利があるかをはっきりさせておく必要がある)

許容される行為と禁止される行為を定める明確なルールがあること。
ex.共有資源利用の時間的制限、地理的制限、道具類の制限、量的制限

違反行為に対する処罰システムが明確で、すべての当事者がそれを理解していること。
ex.懲戒、村八分、罰金、投獄等

裏切り行為を発見する実効的システムが存在すること。

理想的なのは、プレーヤーの日常的な行動を通じておのずと裏切りが明らかになるようなシステム。
ex.水揚げのいい漁場を順番に交替でで利用⇒違反者はすぐ見つかる。

望ましい仕組みをつくる際に、メンバーの知識を活用する。

優れたシステムを築きたいという共通の利害をもっている。
資源を利用するための技術や裏切りの発見可能性、制裁の実行可能性についていちばん詳しいのは共有地を共有するメンバー自身

12.吸血コウモリの助け合いの精神

動物の世界では、遺伝的な結びつきのない関係で利他主義的行動が取られることはほとんどない。
しかし有る程度長期的な関係があれば、遺伝的結びつきがあまりない集団でも互恵的利他主義が存在する場合がなくはない。。
ex.オオカミなどの動物が集団で狩りをする
ex.血を分け合うコウモリ。
・血の分け与えが行われるのは、瀕死のコウモリに対してだけ。
・血の分け与えは元々一緒にいたコウモリ同士の間でのみ行われ、過去に自分を助けてくれたコウモリに対してお返しをする確率がことのほか高かった。
~実効性のある互恵的利他主義のシステムを実践。

13.[ケーススタディー]
早起き鳥は金の卵を産むガチョウを殺す 

エサを集めるのに有利な戦略をとれば、そのフィンチは生き残り、つがいを見つけ、子孫を増やせる。

ケース・ディスカッション:
自分の生息地周辺のサボテンを絶滅させてしまったフィンチ(とその子孫)には、ときとして過酷な運命が待っている。
but
確実に訪れる食糧不測の時代を生き延びられる可能性が最も高いのは、最初に抜け駆けをして、みんなよりたくさん栄養をとったフィンチ。

サボテンフィンチの抜け駆け戦略は、コミュニティー全体を破壊しかねない悪性の因子。
butある程度以上拡大すると、それがいわば沈みかけた船における最善の戦略となる

その行動が有利な戦略として機能するようになると、その行動パターンを根絶するには、もはやコミュニティーを全滅させて、もう一度ゼロから始める以外にない。
(サボテンフィンチ絶滅⇒サボテンが再び実をつけるようになる⇒フィンチのつがいが飛来して、すべてのプロセスがまた振り出しから始まる。)

鹿狩りゲーム:
パターン①:全員が協力して、万事うまくいく。
パターン②:全員が私利私欲に走り、過酷な状況が訪れる。
古典的な囚人のジレンマと異なるのは、「ほかのプレーヤーがどう振る舞おうと関係なく、どのプレーヤーも自分だけ裏切れば得をする」という状況ではない。
ほかのプレーヤーも自分と同じように行動すると信頼できれば、裏切ってもなんの得にもならない

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

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