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2013年9月21日 (土)

仕事の動機付け戦略 誘因(インセンティブ)① ゲーム理論(29)

社会主義経済の失敗は、労働者に十分な誘因(インセンティブ)がなかったから
良い仕事をしてもそれに見合った報酬を受け取れる制度がないこと。

市場経済には、もっとすぐれた自然のインセンティブ制度がある。
利益追求という動機づけ
but
会社の労働者は、市場の荒波に晒されているわけではない。
⇒経営者は会社内に動機付けの仕組みを設け、誰もがある程度の努力をするように工夫しなければならない。

2つの会社が共同でプロジェクト⇒両者にインセンティブが働くよう契約を結ぶ必要がある。

1.努力に対する報酬制度

学生の本の校正アルバイト:
著者には少しでもミスの少ない本にしたいというインセンティブ。
学生にはそこまでのインセンティブはない⇒学生に適切なインセンティブを与える必要。

情報の非対称性の問題:教授が情報量で不利な立場にある。
but
教授が知らない情報は学生の「意図」であって、学生の「資質」ではない。

提示されたインセンティブに対して最も得をするように対応するのは人間の性質として当然のこと。
仕事を怠けても許されるのであれば、サボるのが人情
⇒まじめに仕事をするよう後押しするインセンティブ制度をつくるしかない。

①学生の校正アルバイトに一定の金額の報酬を支払う vs.「誘因両立制約」に反する。
②見つけた誤植の数に完全に準拠して支払う vs.「参加制約」に反する。
⇒適切な支払い方法はこの中間。

①定額支払いと②出来高払いの二本立てにする

学生はある程度の金額の支払が約束される⇒安心して仕事を引き受けられる。
まじめに校正刷りに目を通そうと考えるだけのインセンティブもつくりだせる。

報酬の一部をプロジェクトの成果や会社の業績に連動させる方法。
会社の株式やストックオプション(自社株購入権)の支給形ととってもいい。
どのような仕組みにも悪用される可能性はあるが、インセンティブ制度が有用なものであることは間違いない。

2.インセンティブ契約のつくり方

モラルハザードの本質報酬を支払う側が働き手の努力の程度を測定できないことにある。
⇒仕事の成果や会社の業績など、数字で評価できる要素を基準に支払うしかない。

働き手の「目に見えない努力」と「目に見える成果」との間に完全な1対1の対応関係があれば、この方法で働き手の努力を正確に評価して、報酬に反映できる。
but実際はそう単純ではない。

プロジェクトの成果や会社の業績はさまざまな偶然の要因に左右される。
目に見える成果は、目に見えない努力を図るうえで完璧な基準ではない

ある程度の関連性がある⇒成果を基準にしたインセンティブ制度に努力をうながす効果があることは確かだが、成果を基準に報酬を決めると、運がいい人が得をして、運が悪い人が損をする

運に左右される面が大きい努力と報酬の関連性が弱くなり、インセンティブの効果が小さくなってしまう。
偶然の要素が小さい強力なインセンティブ制度が効果を発揮する。

3.成果比例型でないインセンティブ制度

成果比例型インセンティブ成果に純粋比例して報酬

状況の変化に柔軟に対応できるし、悪用されにくい。
but
重要な節目に到達しても特別に評価してやれない。

非成果比例型インセンティブ成果が一定の基準を突破した場合にボーナスを支払う
無理のないレベルに設定⇒まじめに働けば基準を突破できる可能性が高い⇒営業部員はセールスに励む。
基準を厳しく⇒達成不能なら営業部門は努力することをやめてしまう。
早々を達成⇒手を抜きたいと思う。

実際には①②を組み合わせる場合が多い

営業部門には、売上の一定割合をの報酬を支払い、そのうえで一定の基準を突破した場合に追加のボーナスも支払う方式を採用。
成果の達成目標を複数段階設けて、2段階目の基準を達成した場合にさらにボーナスを支払うケースも多い(2段目のボーナスの金額は最初の基準を達成した場合の1.5倍なり2倍なりに設定してもいい)。

非比例型の弊害をなくしつつ、比例型の利点を取り入れられる。

4.アメとムチ

インセンティブ制度をつくるうえで常に念頭におくべき要素は2つある。
①その制度のもとで働き手が得る報酬の平均的な水準
②成果の良し悪しによる報酬のばらつきの幅

報酬の幅が大きい⇒働き手の努力を促すインセンティブが強くなる
報酬の平均的水準が低すぎる仕事を引き受けようとしなくなる

報酬の幅が同じ場合:
報酬の平均が低い制度⇒成績の悪い人を罰するいわばムチ型の制度。
報酬の平均が高い制度⇒成績のいい人にご褒美を与えるアメ型の制度。

報酬の平均をどの程度に設定すべきかは、参加制約によって決まる
その人がほかの仕事をした場合にいくら儲けられるかが基準となる。

雇主としては働き手への支払をなるべく少なくして、自分の取り分を多くしたい⇒ほかに有利な選択肢のない人を雇おうとする⇒butそういう人は技能が低い可能性がある。

米国の大企業の経営者:
会社の業績がいい⇒巨額の報酬を受け取る
業績がまずまず⇒それほど報酬の金額はへらさない
業績が本当に悪い⇒莫大な「離職手当て」を受け取って会社を去る

アメリカの大企業の経営者は、経営者に支払われる平均的な報酬は、この種の職に就くために最低限納得できるレベルをはるかに超えている。
企業間で人材の争奪戦が起きているから(有能な人材に経営を任せたい企業は、高い報酬を提示せざるををえない。)

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

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