« 子との面会交流について間接強制が認められなかった事例 | トップページ | 仕事の動機付け戦略 誘因(インセンティブ)① ゲーム理論(29) »

2013年9月20日 (金)

選挙(どういう投票行動が得策か)② ゲーム理論(28)

4.中間層への投票

候補者も自分の取る立場を戦略的に決めている。
全投票平均値の位置の候補者が選挙に勝つ⇒候補者は有識者の平均に自分を近づける。
候補者の位置は、それぞれの方向に動く投票者の相対的な人数によって決まる。

人々は方向については本当のことを言うが、強さについては大げさに言いたいと考える(交渉で「両者の間を取る」とうい解決策が取られる場合に、どちらの側も初めはふっかけて極端な立場から交渉を始めるのと同じ。)。

平均のかわりに中央値をとる。
中央値候補者をリベラルの方向に動かそうと思う投票者と、保守の方向に動かそうと思う投票者が同じ数だけいる位置のこと。
~平均値と違い、中央値の位置は投票者の好みの強さに影響を受けない。
(好みの方向だけが問題となる。)

候補者は、左端の0から出発し、過半数の投票者が右への移動を指示する限り右へ動き続ければよい。
(中央値の位置まで来ると、そこを越えてさらに右に動かそうとする投票者と、逆に左に動かしたいと思う投票者の数がまったく同数になる。)

5.アメリカ合衆国憲法の知恵

選択基準が1つ⇒選挙の候補者の立場は、0~100の目盛がついた直線上の点とみなせる。
選択基準が2つ⇒2次元平面上の点。
選択基準が3つ⇒3次元の空間における1点。
すべての凸集合の中で現職に最も不利なのが三角形とその多面体。
(凸集合とは、2つの点とそれを結ぶ線が含まれる集合のこと。)

すべての凸集合において、現職がその重心の点にたてば・・・最低でも36%あまりの票を確保できる⇒現職を失職させるために必要とされる票が全体の64%と定められているときは、すべての有権者の平均的な立場に立てば現職は議席を守り通せる。

投票数の3分の2以上、つまり67%以上の賛成がなければ憲法の規定を変更できない
有権者の平均的な考え方と一致する規定(有権者の分布の重心に位置する規定)は揺るがない

憲法改正の手続きとして理想的なのは、人々の考え方の変化を反映できる柔軟性を確保しつつ、柔軟すぎて不安定にならない制度

単純過半数ルール⇒柔軟だが不安定になりすぎる。
全会一致ルール⇒不安定にならないが、現状を変更することが限りなく不可能になる。
3分の2ルール⇒目的を達成できる。

6.偉人たちの肖像

投票できる人数に限りがある⇒投票者は候補者の功績だけでなく候補者の当選可能性も考えてしまう。
(ある候補者が殿堂入りにふさわしいと思うかもしれないが、同時にその候補者が選ばれそうになれば票を入れるのをためらうだろう。)

賛成型投票:
気にいっている候補者全員に投票でき、投票できる候補者数は限られていない⇒勝ち目のなさそうな候補者に投票しても表の無駄遣いになる心配はない。
but
投票者の内心では、選挙ルールとは無関係に候補者は競い合っている。

合計得票数の上位2人が当選する。1位はディマジオが確実視⇒ディマジオは選ばれるに決まっているから、2票とも次に応援する選手に入れる⇒皆がそう考えるとディマジオが選ばれなくなる可能性。

7.汝の敵を愛せよ

最初に行動することにより、次順位のところにまで寄付金が回せることがおうおうにしてある(相手が最優先する団体には自分は拠出しない。相手に拠出させる。)。

規模の小さな財団がこの戦略をとると、規模の大きな財団や政府が最も優先順位の高い団体や事業に助成金を拠出する役回りを押し付けられる。

他人が後で助けてくれそうなときは、自分の本来の優先順位どおりに行動しないほうが得策の場合がある
自分の望んでいるものを危険な状態においても誰かがコストを払って救い出してくれるときは、あえて危険を取るのがいいのかもしれない。
マーシャル奨学金は、ローズ奨学金の受給者が決まるまで待って、自分の基金の受給者を最終的に決める。

8.ケーススタディー 同数の投票

アメリカ合衆国憲法が、副大統領の職務について記している規定は1つだけ
「合衆国副大統領は上院議長の職に就くが、採決が同数の場合を除いて投票権を持たない」(1条3項の4)
誰かの一票が結果に影響を与えるのは、その票により、賛否が同数となるか同数が破られるときだけ。
but
副大統領が決選投票を投じるのは、意見の割れている重要な問題である場合がほとんど。

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

 

|

« 子との面会交流について間接強制が認められなかった事例 | トップページ | 仕事の動機付け戦略 誘因(インセンティブ)① ゲーム理論(29) »

ゲーム理論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 選挙(どういう投票行動が得策か)② ゲーム理論(28):

« 子との面会交流について間接強制が認められなかった事例 | トップページ | 仕事の動機付け戦略 誘因(インセンティブ)① ゲーム理論(29) »