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2013年9月18日 (水)

交渉① ゲーム理論(25)

労使交渉

ポイント:
①合意に達することは可能なのか
②話し合いで決着がつくのか
③ストを経て初めて決着がつくのか
④どちらがいつ譲るのか
⑤各当事者がどの程度のパイを確保できるのか

夏季のみオープンするリゾートホテル会社
シーズンは101日
ホテルを1日営業すると1000ドルの利益
シーズンの始めに労使交渉。交渉が妥結してホテルをオープン。

シーズン最終日の前日:
経営者はどんな少額の配分でもゼロよりましなので受け入れる⇒組合はほぼ1000ドルを手にできる。

最終要求日の前日:
経営側は、組合にはその提示を拒否して妥結を翌日に持ち込み、1000ドルを得るという手段があることを知っている⇒1000ドル未満の提示はできない。
but
組合が翌日に持ち込んでも、1000ドルを上回る利益は手にできない
⇒それ以上の金額を提示す売る必要はない。
⇒経営側は、2日間の営業に伴う2000ドルの利益のうち1000ドルを組合に提示し、自分たちも1000ドル取るよう提案。

もう1日前に戻る:
組合は経営陣に1000ドルを提示し、自ら2000ドルを得るように提案する。
組合側は常に有利な立場にある。
←最後に全額とれる立場にある。
この有利さはシーズンの前半にさかのぼるほど小さくなる。

本来、交渉は初日に妥結するはず。
両者とも先読みを行い同じ落ち着き先を予測すれば、妥結を先延ばしして1日当たり計1000ドルも失う必要はない
but
実際には、ストやロックアウトが起こったり、一方に大幅に有利な形で交渉が決着するケースがある。

1.交渉でのハンディキャップ制度

パイの配分を決める重要な要素の1つは、先延ばしになることによる損失(待ちのコスト)
but
両者が同じだけの利益を失う場合でも、一方が損失の一部を穴埋めできる方法を持っているケースがある。
組合のメンバーは他でのアルバイトで1日に300ドル稼げる⇒組合が翌日に得られる金額だけでなく、当日に得られる300ドルを追加して提示する必要。

組合はメンバーが他で稼げる金額である300ドルからスタートする。
残りの700ドルが交渉の対象となり、等分の法則により350ドルずつ配分⇒組合は650ドル、経営は350ドルを得る

逆に経営者が有利に立てる場合:
臨時のアルバイトを雇ってホテルを営業できる場合。
その場合1日500ドルの利益。

残りの500ドルを半分づつ配分。

経営者は750ドル
組合側は250ドル
を獲得。

組合員がホテル以外で300ドル

残りの200ドルを半分づつ配分

経営者は600ドル
組合は400ドル
一般的にいえば、合意に至らなかった場合に他で得られる収入が多いほど、パイの配分が大きくなる。

2.パイの大きさを把握する

「パイの大きさ」
両者が合意することによって、合意しない場合より増える価値

交渉がまとまらなくても労働側は1日に300ドル経営側は500ドルを確保⇒交渉がまとまった場合にはじめて手に入る金額は労使合わせて200ドル。
交渉がまとまらなくても確保できる労働側300ドル、経営側500ドルのことを「BATNA(=Best Alternative to a Negotiated Agreement)」(交渉による合意に対する最善の代替案)という。

交渉を行う目的は、両者のBATNAの合計以上の価値を生みだすことにある。
交渉のパイを把握し、それを(公平に)分ける。
BATNAを増やしたり減らしたりする戦略を実践できる可能性もある。

3.相対的ダメージ

自分のBATNAが大きいほど交渉では有利になる。
重要なのは、自分のBATNAと相手のBATNAの比較
自分と相手の双方のBATNAにダメージを与える行動でも、相手に与えるダメージの方が大きければ交渉に有利に働く。

組合:(アルバイトで)300ドル、経営者:(アルバイトを雇うことで)500ドル
組合員がピケを強化すれば、1日当たり100ドル放棄するかわりに、経営者の利益を200ドル減らせる⇒組合200ドル、経営者300ドルで、パイの500ドルを半分づつ分ける⇒組合450ドル、経営者は550ドルという配分。
野球の選手は、オーナー側が被る損失が選手側の損失に比べて大きい時期にストをする。

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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