入札で成功する技・・オークション② ゲーム理論(23)
5.ネットオークション
eベイのネットオークションでは、「プロキシー(代理人)・ビッド」と呼ばれる方法が用いられる。
決めた金額まで、eベイが、かわりに競り上げを行う。
ヴィックレー・オークションとよく似た状況が生まれる(2番目に高い値のプロキシー・ビッドとほぼ同じ金額(1ドルだけ上乗せした金額)を支払う。)。
eベイではたいてい、同じような品物が複数同時に出品されている。
オークションにかけられている品物にどの程度の価値を認めるかは、その時点及び将来にどういう品物がオークションにかけられるかによって決まる。
(250ドルで買えそうなものがあるのに、別のものに300ドルを入札することはないはず。)
それを抜きにして価値を判断することはできない。
6.狙い撃ち
話を単純化して、同種の商品が複数出品されることがないものとして考える。
ネットオークションでは、ぎりぎりまで待って土壇場で高値で入札する場合も少なくない。
「スナイピング(狙撃)」と呼ばれる。
(入札額を封筒に入れて提出するヴィックレー・オークションと異なり)ネットオークションでは、あなたの行動を手がかりに、オークション終了前にほかの参加者があなたの戦略を見抜く可能性がある。
⇒自分の行動を最後まで秘密にしておきたい。
ex.家具の専門業者がバウハウスの椅子に入札を行えば、ほかの参加者は当然、その椅子が本物のバウハウスの椅子であり、歴史的価値があると判断する。
⇒最後の最後まで入札を遅らせる
⇒ほかの参加者が行動を起こそうにも時間がない。
スナイピング戦略が用いられる最大の理由は、多くの参加者が品物の価値を知らないことにある。
スナイピングを行うのは、その品物にいくらまで払っていいかという厳密な判断をほかの参加者にさせないため(手を抜いていいかげんな価格で入札しても勝ち目がないことをほかの参加者に気づかれないようにしたい。) 。
7.落札したときのことを考えて入札せよ
結果を思い描いて行動せよというのは、ゲーム理論の重要な考え方の1つ。
結婚を申し込むときは、相手がイエスという前提で申し込むべき。
←
ノーならそれでおしまい。何もしなくていい。
イエスなら、あなたはその相手と結婚しなければならない。
結婚やプロポーズをするときは、誰でも無意識に、相手の答えがイエスだという前提で振る舞う。
but交渉やオークションのときは、意識的に努めないと、そういう態度を取るのは難しい。
8.企業買収のプロポーズ
相手が企業売却に応じる⇒こちらが提示した金額より企業価値は低いということを意味する。
落札したつもりで逆算して行動を決めるというアプローチ。
9.封印入札方式のオークション
通常の封印入札方式によるオークション:
参加者全員が自分の入札額を書いた紙を封筒に入れて提出する。それをオークション主催者が開封し、いちばん高い金額を入札していた参加者が落札。
落札者が支払う金額は自分の入札額。
自分の本当の評価額をそのまま書いてはいけない。
←そんなことをすれば、よくて収支トントン、下手すれば損をする。
自分の評価額より安い金額を入札⇒利益を生み出せる可能性がでてくる。
常に自分が落札する前提で自分にとって最善の入札額を考えるべき。
オークションで入札金額を決めるときは、自分の入札額が最も高いという前提で、自分にとって最善の金額を考えるべき。
10.ダッチ・オークション
オランダの花市場のオークション:
競り値が上がっていくのではなく下がっていく。
最初にストップさせた人が落札者。
支払う金額は停止した時点での額。
(ジャパニーズ・オークションとは反対)
入札価格を変更しないよう代理人に厳命すべき。
←入札を遅らせれば遅らせるほど、品物を落札できないリスクが大きくなる。
~
とるべき行動は、封印入札オークションと似ている。
では、実際にいくらで入札すればいいのか?
収入等価定理:
オークション参加者がお互いの本当の評価額を知らない場合、売り主としてはどのオークション形式を選ぼうと、平均すれば同じ金額を手にする。
⇒
最良の戦略は、ヴィックレー・オークションやイングリッシュ・オークションで勝者が支払うのと同じ金額。
自分がその品物を最も高く評価しているという前提に立って、自分の次に高い評価をする人の評価額を予想して、その金額を入札すべき。
どのオークションであろうと、あるいは、落札者が支払う金額(売り手が受け取る金額)についてどのようなルールが定められようと、オークションの参加者はそのルールを無効にするように行動する。
ex.「落札者っは入札額の2乗の金額を支払う」というルール⇒参加者はそれに応じて入札額を引き下げる。
落札者自身の入札額を支払う⇒自分自身の本当の評価額をそのまま入札するのをやめる。自分の次に高い金額を入札する参加者の評価額を推測し、そこまで入札額を引き下げる。
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