失敗をいかに防ぐか・・・協力と協調② ゲーム理論(20)
4.スピード違反
誰も法律を守らないのであれば、自分も守らないほうがよい。
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①車の流れと同じスピードで自分も走った方が、安全性が高い。
②車の流れと同じスピードで走っている限り捕まる可能性は低い。
皆が法定速度を守る⇒2つの理由が消える⇒自分も守る方がいい。
ある人の決断が他の人に影響を与えるという法則が、ここでも当てはまる。
厳しい処罰を伴った厳重な取り締まりを短期間に集中的に行い、全員が制限速度を守る状況を生み出すきっかけをつくるのに必要な割合のドライバーに速度を守らせる。
⇒均衡点は、1つの端(全員がスピード違反をする)からもう一方の端(全員が遵守する)へ動く。
⇒(新しい均衡点に移った後は)警察が取り締まりを緩めても、人々は速度を守り続ける。
米国で燃費の悪い大型車が選ばれるのは、高燃費車は車体が軽く、事故に巻き込まれた時に安全性が乏しいと心配する人が多いから。
政府が燃費基準を強化⇒ドライバーが協調的な行動を取るよう背中を押せる
⇒十分な数のドライバーが高燃費車に買いかえれば、ほぼすべてのドライバーが高燃費車に乗る時代に。
燃費改善のために必要なのは、新しいテクノロジーを開発すること以上に、ドライバーに協調的な行動を取らせるための仕組みづくりなのかもしれない。
5.住み分けの理由
現在の地域住民の人種構成比と新たに転入してくる住民の人種構成比が等しくなるときに、均衡が得られる。
その均衡点は3つしかない。
①地域住民がすべて白人になる場合、②すべて黒人になる場合、③両者が混ざりある場合。
実現しやすいのは、全員黒人もしくは全員白人のいずれかの均衡に向かうのが力学上の必然。
③の場合は、構成比がたまたま崩れれば、①か②に向かうことになる。
問題の原因は、1プレーヤーの行動が他者に影響を及ぼすことにある。
シカゴ郊外のオーク・パークは、巧妙な政策でにより人種が混ざり合った状態を維持:
①「売家」の掲示を前庭に出すことの禁止
⇒売り家希望が殺到するパニックを回避。
②人種構成比が変化して不動産価値が減少した場合に、その差額を当局が埋め合わせることを保証。
⇒売り急ぎを回避。
6.孤独なトップの座
新しい基準が提案されるたびに、誰かがランクの引き上げを主張した。
①自分のランクが新しい基準を満たしている者⇒自分の地位が危うくなる恐れがないので共同経営者の質を高める案に賛成。
②ランクが基準にもとより及ばない者⇒共同経営者になれないという自分の不首尾のインパクトを薄めるために基準引き上げ案に賛成。
③反対したのは、基準が引き上げられることにより、共同経営者になるチャンスを失う1人だけ。
⇒提案は毎回9対1の多数で可決された。
~
一連の投票の結果、全員が昇進するより悪いと皆が思っている状況、すなわち誰も昇進しないという昔と同じ状況に戻ってしまった。
教訓①:行動が少しづつ行われる場合、各時点で選択される行動が大多数のプレーヤーにとって好ましく見えるものであっても、最後に到達する状況(全員が昇進しない)が、全員にとって最初の状況(全員が昇進する)より悪いものになる可能性がある。
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「好ましさの程度」を投票に反映させられない。
教訓②:どうせ失敗するなら、難しいことで失敗したほうがましだということ。
ex.エベレストに挑戦、ハーバードに挑戦、一番人気のある学生にデートを申し込む
世の中には、自分の能力の限界を認めたくない人がいる。
そういう人は、自分の能力を直視するのを避けるために、失敗する確率を高めるような行動を取ることもある。
ex.試験前にわざと勉強しない。
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))
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