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2013年9月 8日 (日)

ゲームの性格を変える、戦略活用行動② ゲーム理論(12)

3.確約
早起きの誓い:
早起きの決意を決めた「夜の自分」と意志の弱い「朝の自分」の間のゲーム。

朝の自分:後攻の優位がある。
夜の自分:ゲームの性格を変えて、先攻という立場を自分の味方につける方法がある。⇒目覚まし時計をセット=目覚ましが鳴ったときにベッドから出ると「確約」する行為。

ゲーム樹形図での検討:
目覚ましなし⇒①起きる(夜の自分:10点、朝の自分:0点。)②起きない(夜の自分:0点、朝の自分:10点)
目覚ましセット⇒①起きる(夜の自分:8点、朝ー1点。)②起きない(夜の自分:-2点、朝-5点)
(朝の自分:アラームの騒音はすぐ消せばー1点、ベッドの中で寝たままアラームを鳴らし続けるー15点)
朝の自分:-5よりー1の方がいい⇒アラームがセットされる以上はすぐ起きる。
夜の自分:アラームをセットすれば8点の利得を手にできる(元々のゲームの0点より好ましい)

逆戻り推量によるこのゲームの均衡は、夜の自分がアラームをセットし、朝の自分が起きるというパターン。
早起きゲームでは、戦略活用行動をとれば、相手の選択を既定のものとして受け入れるのではなく、相手の選択を変えることが可能
交互行動ゲームで先に行動するプレーヤーにとって絶対優位・絶対劣位の概念は意味を失う

4.脅しと約束 「確約」:
条件なしの行動を取ることにより、ほかのプレーヤーの行動を変えることを狙う戦略活用行動の一種。
ex.
夜の自分は目覚まし時計のアラームをセット。
朝の自分としては、夜の自分が取った行動を前提に行動するしかなく、夜の自分の確約戦略に対する最善の対応はベッドを出ること。
相手のどういう行動に対してこちらがどういう行動を取るかを定めた「反応ルール」を前もって言渡しておく。

「脅し」:こちらの意向に沿わない場合に相手を罰する反応ルール
「約束」:こちらの意向に沿った場合に相手に褒美を与える反応ルール
(1)相手より先に行動し、反応ルールを決め、それを相手に伝達。
(2)ルール通りの行動選択を相手に信じさせる

ゲームの性格を変えてその選択があなたにとって最善の選択になるようにする
相手の選択に対応して2度目の行動をとれるよう、ゲームの順序を変える

BBとREの価格競争
ゲームの構造を変えて、相手の価格を知ったうえで自社の価格を決められるようにする。
ex.
最低価格保証:REはカタログに80ドルという価格を記載するが、「ほかにもっと安い業者があれば当社も同一価格に値下げします」という一文を入れる。

脅し:値下げをすれば、こちらも同額に値下げする。
実現するための手段:その脅しを実行可能にし、信頼性あるものにするための最低価格保証

5.抑止型と強要型
脅しと約束は、それぞれ2つの種類にわけられる。
「抑止型の脅し」ある行動を相手に取らせないことを目的とする。
ex.米国が、ソ連が西側諸国を攻撃すれば核兵器で反撃する。

「強要型の脅し」ある行動を相手に取らせることをも目的とする。
ex.強盗が人質を取り、要求が拒まれれば人質を殺す。
両方とも、実際に脅しが実行されれば、脅される側だけでなく、脅す側も被害を被る(利得が減る)。
ex.
銀行強盗が人質を殺す⇒刑罰が重くなる
ソ連との核戦争⇒アメリカも甚大な被害

約束について
「強要型の約束」:こちらにとって好ましい行動を引き出すことを目的とする。
ex.検察官が、被告人の1人に対し、共犯者の罪を証言すれば罪を軽くすると約束。

「抑止型の約束」:こちらにとって好ましくない行動を取らせないことが目的
ex.暴力団員が、共犯者に、沈黙を守れば命は保証すると約束。

いずれも、相手が望み通りに振る舞ってくれた後、約束した側が約束を破りたいという誘惑にかられる。

6.簡単・戦略活用行動ガイド
(A)条件なしの行動・・「確約」(撤回不能な行動を取ることによって、相手にそれを前提に行動させる)

(B)条件つきの行動
①「脅し」(こちらの意向に沿わない場合に相手を罰する反応ルールを示す)
②「約束」(こちらの意向に沿った場合に相手に褒美を与える反応ルールを示す)

「脅し」
①もし私の望まないことをすれば(抑止型)
②もし私の望むことをしなければ(強要型)
・・・あなたにとって不利益な行動を取るぞ。

「約束」
①もし私の望まないことをしなければ(抑止型)
②もし私の望むことをすれば(強要型)
・・・あなたにとって利益になる行動を取ることにしよう。

7.警告と確言 「脅し」と「約束」に共通の特徴:
反応ルールを示すことによって、反応ルールのないときにはしないような行動を取ると宣言すること。

ルールとしての効果はなくても、将来起こることを述べることには情報を伝達する効果がある~「警告」と「確言」に分類される。

「警告」何か脅迫したいことがあるとき、それを示す声明
ex.BBがREの1ドル値下げに対して、1ドル以上の対抗値下げをするとカタログで表明する行為。
×REの1ドル値下げに対して0.4ドルの値下げを行う方針は脅しではない。
(表明しようとしまいと、BBにとってはそれが最善の対応。)

「確言」貫き通したい行動があるときに、その意向を表明すること。
ex.BBがREに対して、もしREが80ドルに価格を設定するという共謀を守れば自社もその価格を守るという伝えること。

「脅し」と「約束」戦略的な行動
反応ルールを通して、こちらが本来の行動とは違う行動を取ることを相手に伝えることを目的とする。
意思決定を操作するためになされる。

「警告」と「確言」情報伝達の機能
相手の行動に対してこちらがどう行動したいかを伝えるだけ。
戦略的行動の2つの要素:
①行動の方針。
②その方針に信頼性を与えるための補足的な行動。

8.相手の戦略活用行動
戦略的行動を取ることの利点を考えるのは当然だが、相手の戦略的行動が自分に及ぼす影響も考えないといけない。
(場合によっては、自分が戦略的行動をとるチャンスを放棄し、わざと相手にそうした行動を取らせる方が有利な場合もある。)

①あえて先手をとらない方が有利な場合:
ex.アメリカズ・カップの例

②相手が条件なしの行動を取るのを防ぐ方が有利な場合:
ex.敵を包囲する際に、逃げ道を1か所残しておく。
(敵に死を賭して戦うと言う条件なしの行動を取らせるべきではない。)

③相手が先に脅しを行う⇒いかなる場合も得にならない
(相手の意向どおりに振る舞えば脅しは実行されないが、脅しを受けることにより選択肢の幅が狭まってしまう。)

④相手が先に約束する⇒双方が恩恵を受けるケースもある

9.脅しと約束の使い分け 
時として、脅しと約束の境界線は曖昧。
A:20ドル貸してくれれば危害は加えない⇒約束
B:20ドル渡さないと危害を加える⇒脅し

「脅し」と「約束」の違いは、何を「現状」ととらえるかの違いでしかない。
① コスト:
脅しは約束よりコストが少なくてすむ場合がある。
(脅しが功を奏す⇒実行する必要なし。約束が効力を発揮⇒約束を実行。)

② 目的が「抑止」か「強要」か:
抑止⇒締め切りがあるとは限らない⇒脅し
ex.「西欧を攻撃するな」

強要⇒締め切りが不可欠⇒約束が適している
ex.「部屋の片づけをすませばデザートをあげる」

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