客観的基準に執着する 交渉方法(5・完)
●意志に基づく決断は高くつく
意志に基づく交渉は良くない
解決策は意志と関係ない基準・・「客観的基準」・・に基づく交渉。
●客観的基準を用いるべきケース
「私が間違っているかもしれない、しかし・・」
「この問題を解決する基準を見つけることができる場所を教えて欲しい。」
「圧力」ではなく「原理」に基づく解決。
「圧力」ではなく、「合理性」に対してオープンであれ。
◎原理に基づく交渉は友好的かつ効果的に賢明な解決を作り出す
特定の問題について、公正な基準、効率性又は科学的根拠を用いれば、賢明かつ公正な最終案を実現しやすくなる。
・ 先例、慣習
・ 標準条件
相手をやっつけようとする代わりに、問題解決のための客観的基準を議論する方が、人間関係もうまくいく。
客観的基準を使用する人々は、可能な基準と解決についてより効率的に話しをする。
多くの当事者が関係する場合、独立の基準は効率性にとってより重要となる。
●客観的基準をつくる
事前に複数の客観的基準を自分のケースに当てはめてみる。
◎公正な基準
複数の基準がある
市場価格、先例、科学的判断、専門的基準、効率性、費用、裁判所の決定、倫理的基準、公平性、慣習、相互主義
客観的基準は当事者の意志から独立で、正当で、実用的でなくてはならない。
適用の相互性
ex.不動産会社が定型契約を提示する場合、買い手の場合も同じ契約を使うのかを確認。
◎公正な手続
私意から独立した結果を得るには、①実体面で公正な基準か②対立する利益の解決のための公正な手続を用いることができる。
公正な手続
ex.
一方が切り、他方が選ぶ
どちらが子供の親権を得るかを考える前に、先に面接交渉権について合意する。
かわるがわるする
くじを引く
他人に決めてもらう
プロ野球で採用されている最終最高提案仲裁(last-best-offer arbitration)
~仲裁者は双方の最後の提案から選ぶ。
→各当事者にその提案をより合理的にしようとするインセンティブが働く。
●客観的基準による交渉
いかに客観的基準や手続について相手と議論するか。
3つの観点
① 客観的基準を探す共同作業として考える。
② 理由を示し、どの基準が最も適切でいかにそれらが適用されるかについて、理由を示し、理由についてオープンにする。
③ 圧力ではなく原則に従う。
柔軟に客観的基準に集中する
◎客観的基準を探す共同作業として位置付け
ex.家を購入する際に、「あなたは高価格を望み、私は低価格を望んでいる。公正な価格を考えよう。」
~
共通の目的:公正な価格の決定
基準を提案し、相手からの提案を求める
相手も客観的基準を追及しているものとして扱う。
ex.どのようにしてその価格に達したのか教えて欲しい
相手の提案を梃子として相手を説得する。
(相手の基準に基づく→相手は反対しにくい。)
◎理由付け、理由についてオープンになる。
開かれた心でテーブルにつく。
正当な基準は複数あり得る。
双方が異なる基準→客観的な根拠にもとづき選択する。
ex.その基準が相手によって過去に使われたか。どちらがより広範に適用されるか。
ex.各基準による結果の間をとる。
ex.双方が公平と認める人に基準を選択してもらう。
◎圧力に屈しない
不当な主張を行ってきた場合、相手にその理由を説明させ、客観的基準を提案し、合理性に基づかない合意を拒否する。
合理的な理由がない限り屈しない姿勢は維持しやすい。(原理に基づく交渉は圧力に屈しない強固なパートナー)
~プロセスを立場への執着から客観的基準を求めるものにシフトできる。
→「原理に基づく交渉」は「立場的交渉」よりも優越的な戦略である。
相手が原理に基づく交渉に応じない→交渉の余地はない→合意するかどうかの選択。
(スーパーでの買い物と同じ。)
相手の主張を受け入れる合理的理由がない場合、受け入れることの利益と原理に基づく交渉者としての評価の低下を天秤にかける必要がある。
立場による交渉から基準に基づく解決への議論のシフトは、議論を終わらせるものではなく、有利な結果をもたらすことを保証するものでもない。
but立場による交渉の高いコストなしに強く志向できる戦略を与えてくれる。
◎会社の方針
・ 合理的な説明を求める。
・ 相手のベースに基づく場合、相手は断りにくい。
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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