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2013年8月18日 (日)

マネジメントのパラダイムが変わった ドラッカー(48・完)

●前提とされてきたもの
社会科学では、前提や仮説がそのままパラダイム、すなわち支配的な理論となる。
これまでパラダイムとされてきた前提

組織運営上の問題
① マネジメントは企業のためのものである。
② 唯一絶対の組織構造がある。
③ 唯一絶対の人のマネジメント方法がある。

事業経営上の前提
① 技術と市場のニーズはワンセットである。
② マネジメントの範囲は法的に規定される。
③ マネジメントの対象は国内にかぎられる。
④ マネジメントの領域は組織の内部にある。

●マネジメントは企業のためのものか
マネジメントはあらゆる種類の組織にとっての体系であり機関である。
マネジメントの仕方は組織によって違う
使命が戦略を定め、戦略が組織を定める

●唯一絶対の組織構造はあるか
存在し得るのは、それぞれが特有の強みと弱みを持ち、その場面ごとに適用されるべき組織構造。
組織は、ともに働く人たちの生産性を高めるための道具

× 階層の終わり
vs.
あらゆる組織が、最高権威としてのボスを必要とする。
危機に瀕したときに命運を決するのは明確な命令の有無。

組織構造の多様性:
外国為替の管理⇒完全な集権化が必要。
ハイテク製品の顧客サービスでは分権化を徹底⇒各顧客担当者の指示に全組織が従う。

ある種の研究開発活動⇒個々の専門家がそれぞれの役割を果たすという職能別組織
医薬品開発⇒早い段階で意思決定が必要⇒最初からチーム型組織がふさわしい
⇒2つの組織構造を同じ研究所の中で併存させる必要。

組織が守るべきいくつかの原則:
透明性
② 最終的意思決定者の存在。
権限には責任が伴なう
誰にとっても上司は1人
階層の数は少なくすべき。
←情報の中継点は雑音を倍化しメッセージを半減させる。

何をなすべきかについては教えないが、何をなすべきでないかを教える。
建築家にとっての建築基準に似ている。

個々の人間が、同時にいくつかの組織構造の中で働く。
① ある仕事のためにはチームの一員として
② ある仕事のためには指揮命令系統の中で
③ 自分の組織ではボスだが、他の組織とは提携、少数株式保有、合弁の形で参加。
組織はあくまで道具にすぎない。

今日必要なのは、唯一絶対の組織構造の探求ではなく、それぞれの仕事に合った組織構造の探求であり、発展であり、評価である。

●唯一絶対の人のマネジメントの仕方はあるか
マネジメントの仕方は、その対象によって変わるべき

対象の変化:
働く者は
フルタイムの従業員。組織において誰かの部下。とれたてて能力もなく、言われたことをするだけの存在という前提

パートタイム、派遣社員、アウトソーシング。
知識労働者の増加。
誰よりも詳しいことこそ、知識労働者の知識労働者たるゆえん。

知識労働者といえども、採用、解雇、考課、昇進について判断するのは上司の役割。
but専門分野については、彼らに教わらなくてはならない。
逆に専門家のほうも、仕事の方向性については上司の指示を仰がなければならない。
何が組織にとって重要であるかについても、上司の判断を待たなければならない。

フルタイムの従業員でさえ、これからは、ボランティアのようにマネジメントすべき。
←有給であっても、彼等は知識という生産手段をもっており、組織を移る力があり、実際に辞めることができる。

ボランティア~報酬を手にしない⇒仕事そのものから満足を得なければならない。
・ 挑戦の機会。
・ 組織の使命を知り、それを最高のものとして献身。
・ よりよい仕事のための訓練。
・ 成果を理解。

仕事上のパートナーとしてマネジメント⇒対等の関係。
人をマネジメントすることは、仕事をマーケティングすること⇒「相手が何を望むか」「相手にとっての価値は何か」「目的は何か」「成果は何か」

問題は、「成果」についてのマネジメントの仕方

人について行うべきは、マネジメントすることではなく、リードすること。
その目的は、1人ひとりの人間の強みと知識を生かすこと

●技術と市場とニーズはワンセットか
技術と市場のニーズは不可分との前提→企業内研究所
but
今日、自らの産業や企業に最も大きな影響をもたらす技術は、外からもたらされる技術
ex.医薬品メーカーは遺伝子工学、微生物学、分子生物学、エレクトロニクスの技術に頼らざるを得なくなった。

聞いたことのない技術が突然、産業と技術にイノベーションを起こす。
⇒新しいことを学び、手に入れ、使い、さらにはものの考え方まで変える必要。

あらゆる最終需要がその手段と分離を始めた。
確定的なものはニーズ側(ex.情報入手)であり、ニーズを充足させるための手段は何でもあり得る。(ex.新聞、ラジオ,テレビ、電子メディア、インターネット)

今日の基本的資源:情報
情報は売っても残る⇒他の資源と異なり、希少性の原理には従わず、潤沢性の原理(大勢が持つほど価値が上がる)に従う。
情報は特定の産業や企業が独占できない。
情報の使い道は1つではない。
使い道のほうも特定の情報にこだわることはない。依存しきることはない。

あらゆる知識が、あらゆる産業にとって重要であり、重大な関わりを持つ。
いかなる財やサービスも、使い道は1つではなく、逆にいかなる使い道も財やサービスに縛られない。

① 顧客でない人たち(ノンカスタマー)が、顧客以上に重要になった。
ノンカスタマーについての情報を持つ者はまれ。
自分たちにとってのノンカスタマーが、なぜノンカスタマーのままでいるのかを知る者はさらに少ない
but
変化は常に、ノンカスタマーから起こる。

② もはや自らの製品やサービスを中心においてはならない。
中心とすべきは、顧客にとっての価値であり、支出配分における顧客の意思決定
←顧客にとっての価値は、供給者にとっての価値や質と異なる。

③ 技術や用途は、基盤ではなく、制約条件にすぎない。

●マネジメントの範囲は法的に規定されるか
× マネジメントの範囲は法的に規定される。
vs.系列の存在

× 指揮命令権がマネジメントの基礎との考えによるデュラント(GM)による系列に入れるべき企業の買収。
vs.車種別事業部の賃金上昇⇒部品事業部に波及⇒高コスト構造

○ シアーズ・ローバック
供給業者をグループ化し、企画、開発、設計、コスト管理に共同であたる。
提携の象徴としての限度での少数株式保有。
提携の具体的内容は、全て契約による

○ マークス・アンド・スペンサー
少数株式の保有さえなしに、契約による供給業者の系列化

法的な支配の範囲に限定することなく、経済的なプロセス全体を統合した系列をもつ企業は、25%から30%のコスト削減を実現⇒産業と市場の支配権を手にする。

従来の系列は、調達側が圧倒的な大きな力を有する。
今日、経済連鎖のコンセプトのもとに、対等な力と独立性を持つ者との間に真のパートナーシップが生まれる(新技術を持つパートナーは通常小規模。but成功の鍵となる技術を持っているのは彼等の方。)。
ex.医薬品メーカーと大学の生物学科。化学品メーカーや医薬品メーカーと遺伝子工学、分子生物学、医療用エレクトロニクスの専門ベンチャー。

マネジメントの範囲は、法的にではなく実体的(企業においては、経済的プロセスの全体)に規定される。

●マネジメントの対象は国内に限定されるか
国境を越えて研究開発、設計、エンジニアリング、試験、生産、マーケティングを行うグローバルなシステムとしてマネジメント。
ex.ある大手医薬品メーカーは、研究所を7カ国に有するが、その研究開発部門は本社の研究開発本部長のもとで1つにまとめてマネジメント。
11カ国に工場を有し、世界中でマーケティングと販売。

国はコストセンターであり、経済単位ではなく、制約条件にすぎない
現実のマネジメントを規定するのは、政治ではなく、経済の実体である。

●マネジメントの世界は組織の内部にあるか
起業家精神は、組織の外に始まり、組織の外に焦点を合わせる

組織の内部に存在するのは努力だけであり、内部で発生するのはコストだけ
成果は組織の外部にしかありえない。
マネジメントは、組織の外部において成果をあげるためのもの⇒成果を明らかにし、次にそれを実現するために手にする資源を組織

マネジメントは、組織に成果を挙げさせるための道具、機能、機関であり、成果と仕事にかかわることすべてに責任を負う。

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 
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