マネジメントの技能:コミュニケーション ドラッカー(30)
★メモ
「知覚」は客観的なものではない。
コミュニケーションは知覚・期待・要求という主観の問題。
★
●4つの原理
コミュニケーションについて4つの基本:
コミュニケーションとは
①知覚であり、②期待であり、③要求であり、
④情報ではない。
(コミュニケーションと情報は相反する。しかし、両者は依存関係にある。)
●①コミュニケーションは知覚である
「誰も聞かなければ、音はない」
コミュニケーションを成立させるのは受け手(コミュニケーターは発するだけ)
聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。
⇒
受け手の言葉を使う。
受け手の経験に基づいた言葉を使う。
「受け手の知覚能力の範囲内か、受け手は受けとめることができるか」を考える必要がある。
あらゆる事物に複数の側面がある⇒相手が自分と違う側面を見るかぎり、自分とは違い世界を理解せざるを得ない。
コミュニケーションを成立させるには、受け手が何を見ているかを知らなければならない。その理由を知らなければならない。
●②コミュニケーションは期待である
人は期待しているものだけを知覚する。
期待しているものを見、期待しているものを聞く。
期待していないものは受けつけられることさえない。
⇒
受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。
期待するものを知って、初めてその期待を利用することができる。受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを強引に認めさせるためのショックの必要を知ることができる。
●③ コミュニケーションは要求である
新聞では、紙面の余白を埋めるための、ニュースにならない些事を埋め草に使うが、それがよく読まれ、記憶される。
←それらの豆記事は何も要求せず、読者の関心と関係がない。
コミュニケーションは受け手に何か(何かになること、何かをすること、何かを信じること)を要求する。
それが受け手の価値観、欲求、目的に合致するとき強力となり、それらのものに合致しないとき、まったく受けつけられないか抵抗される。
(コミュニケーションが力を発揮し、受け手の心を転向させることは、人の存在に関わる問題であるが故にまれ)
キリストさえ、迫害者サウロを使徒パウロとするには、サウロをひとたび盲目にする必要があった。
受け手の心を転向させるkとを目的とするコミュニケーションは、受け手に全面降伏を要求する。
●④ コミュニケーションは情報ではない
コミュニケーションは情報とは別物。ただし依存関係がある。
コミュニケーション:知覚の対象
情報:論理の対象
情報:
形式であり、それ自体に意味はない。
情報に人はいない。
感情、価値、期待、知覚といった人間的な属性を除去するほど、有効となり信頼度も高まる。
コミュニケーションは、必ずしも情報を必要としない。
実際いかなる論理の裏づけもなしに経験を共有することこそ、完全なコミュにケーションをもたらす。
コミュニケーションにとって重要なのは、知覚であって、情報ではない。
●上から下へ、下から上へ
これまで、コミュニケーションを上から下へ試みてきた(=コミュニケーションを成立させる者は発し手であると前提にしている。「何を言いたいか」に焦点を合わせている)が、それではコミュニケーションは成立しない。
どのように話すかという問題は、何を話すかという問題が解決されて初めて意味を持つ。
(どのように上手に話しても、一方的に話したのでは話は通じない。)
エルトン・メイヨー:
上に立つ者は下の者が言わんとすることに耳を傾けなければならない。
部下に理解させたいことからではなく、部下が知りたがっていること、興味を持っていること、すなわち知覚する用意があることから着手しなければならない。
耳を傾けることは重要だが、それがすべてではない。スタートに過ぎない。
情報が多くなるほど、効果的かつ機能的なコミュニケーションが必要になる。
情報が多くなるほど、コミュニケーション・ギャップは縮小するどころか、かえって拡大する。
●コミュニケーションの前提となるもの
目標管理こそコミュニケーションの前提となる。
目標管理において、部下は上司に向かい、「企業もしくは自らの部門に対して、いかなる貢献を行うべきであると考えているか」を明らかしなければならない。
それが上司の期待どおりであることはまれ。
目標管理の最大の目的は、上司と部下の知覚の仕方の違いを明らかにすること。
同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ること自体が、コミュニケーション。
部下は、その経験から上司の抱える問題(意思決定の実体、優先順位の問題、なしたいこととなすべきこととの間の選択、意思決定の責任等)に接する。
⇒上司の立場の複雑さを理解する。その複雑さこそマネジャーの立場に固有のものであり、何も上司が好き好んでつくりだしているものではないことを理解する。
コミュニケーションが成立するには、経験の共有が不可欠。
組織において、コミュニケーションは単なる手段ではない。それは組織のあり方。
(これこそが、コミュニケーションを考えていくうえでもっとも重要な基本とすべき結論)
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