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2013年8月19日 (月)

立場ではなく、利益に集中する 交渉方法(3)

●賢明な解決のためには、立場ではなく利益と調和させる

当事者の問題は立場の対立として生じる→立場について考え交渉する傾向がある。
立場:「窓を開ける」か「窓を閉める」か。
利益:新鮮な空気。すきま風。

利益が問題を定義する
問題は立場の対立ではなく、立場を導く利益(ニーズ、希望、懸念及び恐れ)に存在する。

立場ではなく利益との調和が有効である理由。
利益を満足させ得る立場は複数ありうる
立場の背後にある利益に着目→自分の利益と相手の利益の双方を満足させる代替的立場を見つけることができる
② 立場の背後に、対立する利益以外の多くの利益が存在している。

◎相手の立場の背後には、対立する利益とともに共通の又は両立する利益が存在する
他方の立場が反対であるため、その利益もこちらと反対であると思う傾向がある。
(こちらの利益が家賃の最小化にあれば、相手の利益はその最大化にあると思い込む。)

家主の借主との共通の利益
・ 地位の安定
・ アパートの維持
・ 良好な関係

家主と借主の異なるが両立する利益
・ 借主:新しいペンキへのアレルギー。(家主:ペンキ塗り直しの費用を負担したくない。)
・ 家主:明日までに頭金を支払って欲しい。(借主:いつ払っても良い。)

共通の利益又は異なるが両立する利益に着目し、家賃の最小化と収益の最大化という対立する利益を処理する。
ex.長期の賃貸、アパートの改良のための費用を分担、良好な関係のため相手の利益を受け入れようとする努力、頭金の即座の支払い、テナントがペンキを買った場合にペンキを塗る。
→解決されるべきは家賃の金額のみであり、相場により公正に決定され得る。

●いかにして利益を把握するか
立場:具体的かつ明確
背後の利益:明示されず、不明瞭で、一貫しない

「何故」を尋ねる
相手の立場にたって何故かを考える。
相手にその立場の理由を尋ねる。

「何故そうしないのか」を尋ね、その選択を考える
利益を探す最も有益な方法の1つは、相手方がこちら側の要求と考える基本的決定を把握し、何故相手はその決定を行わないのかを問う。
相手の気持ちを変えようとするなら、出発点は相手の気持ちがどこにあるのかを理解すること

1980年のイラン学生によるアメリカ大使館員人質解放に際しての、イラン学生指導者の選択
人質解放にイエスといった場合:

・ 革命を裏切る
・ アメリカの手先と非難される
・ 他の者は賛成しない

・ イランは弱く見られる
・ アメリカに譲歩することになる
・ 何も得られない
・ アメリカがどうするかわからない

しかし
・ 経済制裁が解除されるかもしれない
・ 他国、特にヨーロッパとの関係は改善するかもしれない

人質解放にノーと言った場合:

・ 革命を支持することになる
・ イスラムを守っていると賞賛される
・ 団結する
・ テレビで苦情を世界に伝えることができる
・ イランは強く見られる
・ アメリカに抵抗することになる
・ 何かを得るチャンスルになる
・ 人質は米国の介入を防ぐ

しかし
・ 経済制裁は続く
・ 他国、特にヨーロッパとの関係は悪化する
・ インフレと経済問題が続く
・ 米国が軍事行動にでるかもしれない

双方が多様な利益を有することを認識せよ
ほとんどの場合、各当事者は多くの利益を有している。
よくある誤りは、相手側の各当事者が同じ利益を有していると考えること。
交渉者の利益を理解することは、相手が考慮しなくてはならない多様な利益(顧客、支持者、従業員、家族等の利益)を理解すること

◎最も強力な利益は人間としての基本的ニーズである
人を動機付ける基本的利益。
・ 安全
・ 経済的利益
・ 帰属意識
・ 評価・平等
・ 生活へのコントロール

あまりに基本的→これらのニーズは見過ごされ、金額についての利益のみを考えがち。
but
離婚における扶養料についての交渉における利益
ex.経済的利益の他に、精神的安全、評価、公正さ
→安全と評価が他の方法で満たされれば、それだけの金額は必要ないかも知れない。

リストを作る
各人の利益を列挙する
・ 記憶に役立つ。
・ 新しい情報によりその評価の質を高め、利益の優先順位を把握する。
・ それらの利益に合致するアイデアを刺激する。

利益について話す
交渉の目的は自分の利益のためになること
それらを相手に伝えたとき、その可能性は増加する。

利益をあるがままの状態で伝える
自分の利益がいかに重要かつ正当なものであるかを理解させる。

具体的な描写
→説明を信頼できるものにするとともに、インパクトを与える

「私が間違っていたら直してください」という対応はオープンさを示すとともに、相手が訂正しない場合、相手が状況描写を受け入れたことを示唆する。

利益の正当性を確立する必要がある。
相手が同じ立場であれば同じように感じるであろうことを確信させる。

問題の一部として相手の利益を認識する
自分の利益にとらわれ、相手の利益に注意を向けない傾向がある。

人は、自分のことを理解する理解力があり思いやりのある人の意見は聞く価値があると考える

相手に自分の利益を評価して欲しければ、自分が相手を評価していることを示すことから始める。
相手の利益についての自分の理解を伝え、正しいかどうかを相手に確認する。

相手の利益を理解していることを示すとともに、相手の利益が解決されるべき問題全体の一部であることを認める
共通の利益を持っている場合にそれは容易。
「あなたの会社のトラックが子供を轢けば、私たち双方にとって大変なことになる。」

◎答える前に問題を提示する
←先に自分の立場を述べれば、相手はそれに対する反論の用意のため、その後の問題の提示に耳を傾けない。

◎後ろ向きではなく、前向きに対応せよ
人は、相手の過去の言動に対応し、将来的利益のために行動しない。
相手を負かし、相手に対する見方を裏付ける証拠を集めることに励む。

後ろ向きの対応:
原因を向き、自分の行動を以前の事柄により導かれたものとして考える。

前向きの対応:
目的を向き、自分の行動をその自由意思によるものとして考える

過去の出来事について話すより、どこに行きたいかについて話すほうが建設的。

問題にはハードに人にはソフトに対応せよ
交渉者が立場について話すのと同じく自分の利益についてハードであってよい。
むしろハードであるべき。
ここが、交渉において積極的エネルギーを費やす部分

最も賢明な解決(自分にとって最大の利益を作り、相手にとってコストが最小になる)は、強く利益を主張することにより達せられる。

双方が自分の利益を強く主張する場合、双方にとって有利な解決を考える創造性を刺激する。

個人的に攻撃される
→防戦的になり聞く耳を持たない。
→人を問題から分けるのは重要。
人を非難することなく(むしろ相手を支持して)、問題を攻撃する。

尊敬をもって相手に耳を傾け、礼儀を示し、相手の努力と時間に評価を示し、相手のニーズを満たすことに注意を払う。
問題を攻撃しているのであって相手を攻撃しているのではないことを示す。

有用なルールは、問題に対応するのと同じ強さで、相手を積極的に支持する。
心理学的理論:cognitive dissonance(内面の心的葛藤)人は矛盾を嫌い、葛藤を減少させる行動をする。
→葛藤を克服するために、相手は問題から離れ、こちら側に協力する気になる

実体的問題(利益)についてのハードな戦い効果的解決へのプレッシャーを増加させる。
相手の支持関係を改善し、合意に達する可能性を高める
どちらか一方では不十分。

自分の利益のための激しい交渉は、相手の見方に閉鎖的であることを意味しない。
反対に、相手の利益を考慮せず、相手の提案にオープンでなければ、相手がこちらの利益を聞き、その提案する選択肢を議論することは期待できない。

成功する交渉は、強固さオープンさの双方を必要とする。

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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