戦略ショートストーリー ゲーム理論(2)
この章の目的:
このような状況が世間一般に広く見られるもので、論理性のある問題を含んでおり、体系的思考が役に立つ事を知ってもらうこと。
1.数当てゲーム
無作為に選ばれた数字を当てるのであれば、相手の事を考える必要はない。
but
ゲームをプレーするときは、ほかのプレーヤーの目的と戦略を考慮に入れて行動しなければならない。
相手の行動を予測し、それが自分の戦略にどのような影響を及ぼすかを考えなくてはならない。
2.負けるが勝ち
リチャードの立場:
①ルディーが勝つ。ルディーはリチャードを選らぶ。優勝はルディー。
②ケリーが勝つ。ケリーはリチャードを選らび最終投票。
③リチャードが勝つ。ルディーを選べばルディーが勝つ。ケリーを選べば、ルディーとその仲間の反感を買って、ケリーに優勝をさらわれる。
⇒②が最善。
リチャードのプレーが見事だったのは、ほかの参加者の動きをことごとく事前に予測したこと。
3.ホットハンド
連続的に成功するその一時期のこと
スターの価値は、自身のあげた得点だけでは評価できない。
チームメイトのプレーにも大きな貢献をしている。
左手の方がうまい人ほど左手を使う頻度が少ない。
(相手はうまい方を使わせないようにする)
4.アメリカズ・カップ
ヨットレースでは勝ちさえすればクロスゲーム(接戦)でも構わない。
リードを保つ最も確実な方法はサルまねすること。
新しいアイデアは新規参入企業から生まれることが多い。
←新規参入企業にとって、技術革新は最良の、おそらくは唯一の市場獲得のチャンス。
P&Gは、キンバリークラークの開発した新式のおむつを同社のあとから作り市場の中心的な位置を獲得
後手に回るやり方には、二種類の方法がある。
①ヨットレースの例のようにライバルの戦略を即座に模倣する方法。
②コンピュータの例のようにライバルの戦略が成功するか失敗するかがわかるまで待つ方法。
←スポーツと違ってビジネスでは勝者がすべてを得るわけではないので「待ち」の戦略に利点がある。
5.ルターとド・ゴールの頑固戦略
ド・ゴールの強さは何にもまして妥協しないことの力。
妥協しない⇒相手国には2つの選択肢のみ。
①ド・ゴールの主張を受け入れるか
②拒否するか
ド・ゴールは自分の主張が通ると計算できる局面を慎重に選んで、非妥協作戦を実行。
頑固を貫きとおし、実行の確約を実現する方法はいろいろある。
6.戦略的痩せ方とは何か
足らなかったのは、プラスアルファのモチベーション。
(ダイエットできなければ水着写真が晒される)
明日ではなく今日すぐにダイエットを開始する必然性。
未来の自分の行動の背中を、現在の自分が後押しするようなインセンティブを与える。
戦略的思考にのっとって考えれば、選択肢を減らしたほうがいい結果を生む場合もある。
ex.峡谷を背に戦う。乗ってきた船を沈める。
7.バフェット流「囚人のジレンマ」
選挙資金改革法案が反対多数で否決された場合、賛成票を少しでも多く投じた方の政党に、10億ドルの献金をする。
~
民主党が法案に反対⇒共和党が法案に賛成で法案不成立⇒共和党に10億ドルの選挙資金をプレゼント
民主党が法案に賛成⇒共和党が反対した場合には10億ドルを手にできる可能性がある。
~
10億ドルを受け取る可能性を残したければ、民主党は法案に賛成する以外ない。
囚人のジレンマ:双方の当事者が共通の利益に反対する行動をとることになる。
1人1人が自分の利益に沿って行動する結果、集団全体にとって悲惨な結果を招くことがある。
8.ミックス戦略
ゲームを繰り返す場合は、行動をミックスする必要がでてくる。
大事なのは、相手に予測不可能に振る舞うこと。
but実際には、ほとんどの人が予測可能なパターンにはまってしまう。
9.不公正な賭け
市場で取引に参加している大半はトレーダー。
トレーダーにとって取引はゼロサムゲーム。
(シカゴの先物取引で)売買の合意が成立する時、双方とも自分の方が利益を手にすると思っているが、どちらかが見込み違いをしている。
(株式投資の場合、企業の成長が加速すれば、投資家と企業の両方が利益を得る。)
他人から持ちかけられた賭けには乗るべきでない。
「勝者の呪い」:
オークションで勝った時には、他の人はその商品にそれほどの価値を認めていないということ。
ある人の行動はすべて、その人が何を知っているかを探す手がかりになる。
情報量に偏りがある状況での対等なゲーム:
情報の少ないほうのプレーヤーに、どっちに賭けるかを選ばせる。
10.ゲーム理論とタクシー
プライドや不合理性が人間の行動に影響を及ぼすことは避けられない。
(わずかの損ですむのなら、あえてだまされたほうが得策なのかもしれない。)
タクシーを降りてから交渉を始めれば、強い立場で交渉できた。
相手の視点を把握すべし。相手がどういう情報をもっていて、どういう動機で行動していて、あなたのことをどう思っているかを知っておく必要がある。
11.ショートストーリー教訓集
① 相手の意図を察知する必要(数当てゲームの「48」)
② 先をすべて読んで行動したリチャードが勝利(サバイバー)
③ 物理学と同じく「作用には反作用が伴う」(ホットハンドの話)
(自分が行動を変えればほかのプレーヤーも行動を変える可能性がある。)
④ 「つまった歯車は油をさしてもらえる」(ド・ゴールの交渉術)
⑤ 決意を固めるには、退路を断って臨むのがいい。(ダイエット、戦争)
⑥ 協調や自己犠牲を必要とする行動の難しさ。(「冷血」「猫に鈴をつける」)
⑦ ヨットレースや産業界の技術開発競争では、後発組のほうが革新的な戦略を採用し、先発組は後発組の戦略を模倣する傾向
⑧ 自分の行動を相手に予測されないことの重要性(オークション会社のじゃんけん対決)
⑨ 他のプレーヤーは感情のないマシンではなく、生身の人間(エルサレムのタクシーの話)
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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