平成24年衆議院総選挙定数訴訟(東京都第一区)第一審判決
最高裁H25.3.6
平成24年12月に実施された衆議院議員総選挙の小選挙区東京都第一区における選挙は違法であるが、選挙は有効であるとされた事例
平成24年衆議院総選挙定数訴訟(東京都第一区)第一審判決
<規定>
行政事件訴訟法 第31条(特別の事情による請求の棄却)
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
2 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
3 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
<判断>
違憲状態に至っていた本件選挙区割りは、平成23年大法廷判決時点を起点とて、その後、憲法上要求される合理的期間内における是正が行われないまま本件選挙時に至ったと認めることが相当。
⇒本件選挙区割りを定めた公職選挙法の区割規定は、本件選挙当時、違憲であった。
選挙区の区割規定が投票価値の平等に反して違憲であると判断される場合に、これに基づく選挙を直ちに無効とした場合、当該選挙区から選出された議員が存在しない状況で選挙区割規定の是正を行わざるを得ないなど憲法の予定しない事態が現出することによる不都合等が生じる。
⇒
選挙を無効としないことによる弊害、上記不都合等、その他諸般の事情を総合的に考慮し、いわゆる事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項)の基礎に存する一般的な法の基本原則を適用して、選挙を無効としないのが相当か否かを判断するのが相当。
選挙を無効とする買でも、その効力は判決確定後一定期間が経過した後に発生するという判決をすることも検討の対象となる。
⇒
本件は事情判決。
<解説>
平成23年大法廷判決は、前回の総選挙は違憲状態の下で行われたものであると判断。
今回の選挙は違憲状態と判断されたものと同じ選挙区割りで選挙されているため、これをどう評価するかが問題。
①本選挙までに選挙区割りの見直しをすることは無理⇒違憲状態
②選挙区割りを見直すことができた⇒違憲
③このように放置している状態を是正すべきであり、無効と判断しても混乱は回避できる⇒選挙自体無効
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