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2013年5月 4日 (土)

元本確定前の根保証の随伴性(肯定)

最高裁H24.12.14    

根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合に譲受人が保証債務の履行を求めることの可否 

<事案>
根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権(「被保証債権」)を当該根保証契約に定める元本確定期日前に譲り受けたXが、保証人であるYに対し、保証債務の履行求める事案。
根保証について、元本確定期日前にも随伴性が認められるかが問題となった。 
Aは、本件根保証契約の保証期間中である平成20年9月26日、これらの貸付にかかる債権を株式会社Cに譲渡し、Cは、同日、当該各債権を原告である株式会社Xに譲渡した。

<解説・判断>

根抵当権については、「元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない」(民法398条の7第1項)として、元本の確定前の随伴性を否定する規定があるのに対し、根保証については、平成16年法律第147号の改正により定められた貸金等根保証契約(民法465条の2)を含めて条文に規定がない。
(本件根保証契約は、根保証人が法人であるため、貸金等根保証契約にはあたらない。) 

根保証の捉え方について
A:根保証は保証期間中発生する個々の主たる債務をを保証する(個別保証の集積)(本件判例)
B:根保証を根抵当権に近づけて、保証期間が終了した時点で存在する債務を一切担保するのが根保証


本判決: 
根保証の考え方について
「根保証契約を締結した当事者は、通常、主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し、当該債務の弁済期が到来すれば、当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように、保証期間の定めがある場合には、保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても、保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し、被保証債務が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。」

通常の根保証契約が個別保証集積説を前提とするものであることを明らかに。

その上で、根保証の随伴性について、
「根保証債権を譲り受けた者は、その譲渡が当該根保証契約に定める元本確定期日前にされた場合であっても、当該根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意がない限り、保証人に対し、保証債務の履行を求めることができるというべきである」として、別段の合意がない限り、元本確定期日前の根保証に随伴性があることを肯定。 

本判決は、「根保証契約の当事者間において被保証債権の譲受人の請求を妨げるような別段の合意」をすることによって、被保証債権の譲渡が元本確定期日前にされた場合には譲受人が保証人に対して保証債務の履行を求めることができないとすることを許容。
(根保証を含む保証については、債権者と保証人との間の契約で成立する。)

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

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