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2013年5月15日 (水)

社会保険審査会法32条1項にいう「審査官の決定書謄本が送付された日」

東京地裁H24.9.12   

社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる期間の起算日を定める社会保険審査官及び社会保険審査会法32条1項にいう「審査官の決定書謄本が送付された日」について判断された事例

<事案>
障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとして国民年金法による障害基礎年金の支給を受けていたXが、
①厚生労働大臣が平成22年10月15日付けでXの障害の程度につき障害等級2級に該当するとしてXの障害基礎年金の額を減額する改定(「本件処分」)をしたことについて、同処分の取消しを求めるとともに、
②同処分についてした審査請求を社会保険審査官が棄却するとの決定(「本件決定」)をしたことから、社会保険審査官及び社会保険審査会法32条1項に基づき再審査請求をしたが、社会保険審査会が再審査請求期間の徒過を理由に同請求を却下するとの裁決をしたことについて、同裁決の取消しを求めた事案。

<争点>
①本件再審査請求が再審査請求期間内にされた適法なものとして本件処分の取消しの訴えにおける審査前の要件(行政事件訴訟法8条1項ただし書)を充たしているか(本件における再審査背級期間の起算日の基準となる社保審法32条1項の「審査間の決定書の謄本が送付された日」がいつか)
②Xの障害等級について二級に該当するとして障害基礎年金の額を改定する本件処分が適法か 

<判断>
本件の簡易書留がXの代理人の事務所に実際に配達された日をもって、本件決定謄本が「送付された日」に当たる。 

<解説>

再審査請求の期間については、行政不服審査法53条に一般的な規定が置かれる一方、社保審法上の再審査請求については、同法32条1項に規定が置かれている。
前者:「審査請求についての裁決があったことを知った日の翌日」
後者:「審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日」

行政不服審査法53条の「裁決があったことを知った日」について
最高裁昭和27.11.20:
「当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分の存在を現実に知った日を指す」
「処分を記載した書類が当事者の住所に送達される等のことがあって、社会通念上処分のあったことを当事者の知り得べき状態に置かれたときは、反証のない限り、その処分のあったことを知ったものと推定することはできる」
と判断。

  ●
争点②について
処分行政庁としては、改定によらずに、職権による取消しをして正しい等級を改めるという運用も考え得るところであるが、本判決は、このような場合でも改定をすることができると判断したもの。

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

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