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2013年3月24日 (日)

収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間

最高裁H24.11.2
   
収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合に審査請求がされたときにおける収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間
西条駅前土地区画整理事業損失補償裁決取消請求事件上告審 
 
<事案>
Xらが、東広島市都市計画事業西条駅前土地区画整理事業(「本件事業」)に関し、同事業の施行者である東広島市が土地区画整理法78条3項において準用する同法73条3項に基づきXら及び選定者を相手方として損失の補償につき行った土地収用法94条2項の規定による裁決の申請は、土地区画整理法77条7項に基づき同市が自ら行うべ建築物等の移転が完了していない段階のもので不適法であるから、右裁決の申請を却下しないでされた広島県収用委員会の平成18年10月24日付裁決は違法であると主張して、被上告人(広島県)を相手に、本件損失補償裁決の取消しを求める事案。 

<規定>
行政事件訴訟法 第14条(出訴期間)
3 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

行政事件訴訟法  第20条
前条第一項前段の規定により、処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合には、同項後段において準用する第十六条第二項の規定にかかわらず、処分の取消しの訴えの被告の同意を得ることを要せず、また、その提起があつたときは、出訴期間の遵守については、処分の取消しの訴えは、裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす

行政事件訴訟法 第19条(原告による請求の追加的併合)
原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第十六条第二項の規定を準用する。

土地収用法 第133条(訴訟)
収用委員会の裁決に関する訴え(次項及び第三項に規定する損失の補償に関する訴えを除く。)は、裁決書の正本の送達を受けた日から三月の不変期間内に提起しなければならない。

<判断>
行訴法14条3項は、審査請求をすることができる場合において審査請求がされたときにおける原処分の出訴期間の一般原則を定めるものであり、特別法の規定の解釈により例外的にその短縮を認めることについては、国民が行政事件訴訟による権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するという平成16年法律第84条による同条の改正の趣旨に鑑み、慎重な考慮を要する。

①審査請求に対する裁決の取消訴訟について特則が設けられなかったのは、当該審査請求に対する裁決の取消訴訟について検討の機会を通例と同様に確保する趣旨であると解され、審査請求がされなかった場合について出訴期間を短縮する特例が定められているとしても、審査請求がされた場合における収用委員会の裁決の取消訴訟についても同様に短期の出訴期間に服させなければならないというものではない

②むしろ、当該収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間と当該審査請求に対する裁決の取消訴訟の出訴期間の両者とも行訴法14条3項を適用して同一の期間と解することが、国民が行訴法による権利利益の救済を受ける機会を適切に確保するとうい同条の改正の趣旨に沿ったものであるといえる。

③原処分の取消訴訟の出訴期間が裁決の取消訴訟の出訴期間より短期とされると、一定の範囲で行訴法20条による救済がされない場合が生ずることから、収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において、審査請求がされたときは、収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間については、土地収用法133条1項が適用されるものではなく、他に同法に別段の特例規定が存しない以上、原則どおり行訴法14条3項の一般規定が適用され、その審査請求に対する裁決があったことを知った日から六か月以内かつ当該裁決の日から一年以内となると解するのが相当

これと異なる原判決を破棄し、一審判決を取り消し、本件損失補償裁決の適否について審理を尽くさせるべく、本件を一審に差し戻した。

<解説>
行訴法14条3項は、処分又は採決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があったときは、処分又は採決に係る取消訴訟は、裁決があったことを知った日から6か月又は採決の日から1年を経過したときは、提起することができない旨を規定。
本件損失補償裁決については、適法な審査請求がされ、これに対する本件裁決がされた翌日の平成21年7月23日に裁決書に係る送達がされている
⇒同項により、その消訴訟の出訴期間は、本件裁決があったことを知った日と解される同日を基準として定められる。

行訴法20条は、同法19条1項前段の規定により、処分の取消しの訴えがその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起された場合には、出訴期間の遵守については、処分の取消しの訴えは、裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす旨を規定。
本件損失補償裁決の取消請求は、行訴法19条1項に基づき、審査請求に対する裁決の取消訴訟に追加的に併合された
⇒同法20条により、出訴期間の遵守については、本件裁決の取消訴訟が提起された平成22年1月19日に提起されたものとみなされる。

土地収用法133条1項は、収用委員会の裁決の取消訴訟について三か月の短期の出訴期間を定めているが、収用委員会の裁決についての審査請求に対する裁決の取消訴訟については出訴期間に係る特例は設けられていない。 

本件損失補償裁決の取消訴訟が提起されたものとみなされる日は、本件裁決に係る送達がされた日から三か月を超え、六か月を超えない日であった

本件においては、本件損失補償裁決の取り消し訴訟の出訴期間が、土地収用法133条1項が適用されて三か月となるのか行訴法14条3項が適用されて六か月となるのかが問題となった。 

土地収用法133条1項の趣旨については、収用委員会の裁決は司法手続に準じた厳格な手続を踏んで行われる処分であり、また、裁決があると、補償金の支払義務等が発生するとともに、収用又は使用の裁決については、明渡しの期限の到来後には公益事業が実施されることになる
⇒早期に法律関係を確定する必要がある。

本判決は、条文上必ずしも適用関係が明らかではなかった、収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合に審査請求がされたときにおける収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間につき、平成16年改正の趣旨や、関係規定の趣旨等を踏まえ、出訴期間に係る規定の適用関係を明らかとしたもの。 

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

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