裁判所の職権による勾留場所変更の移送決定
最高裁H24.10.25
裁判所が職権により被告人の勾留場所を変更する旨の移送決定をした事例
<事案>
弁護人が恐喝被告事件で上告中の被告人の身柄を他の刑事施設に移送する旨の職権発動を促す申立てをした事案であり、職権発動をする場合の判断主体が問題となった。
刑務所服役中に陵虐行為を受け、国賠請求を提起。
近日中に本人尋問を含む証拠調べが行われる可能性が高く、被告人と右訴訟原告代理人も務める弁護人との密接な打ち合わせが必要となる。
右陵虐行為が行われた同じ刑務所内に被告人が勾留されていること自体、国賠請求事件における手続の公正さの観点から極めて問題。
⇒勾留場所を鹿児島拘置所に変更する必要がある。
検察官の意見は、しかるべく。
<判断>
上告審においてなされた被告人の移送の職権発動を促す申立てに対し、裁判所として、被告人の勾留場所を変更する旨の移送決定をした。
<解説>
裁判所が職権で被告人の身柄を移送することの可否:
最高裁H7.4.12:
これを肯定。
~
第1回公判期日前に弁護士人がした勾留場所部分の取消しを求める勾留取消し請求を、被告人の交流場所を変更する旨の移監(移送)命令の職権発動を促す趣旨と扱い、勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監(移送)命令を発することができる旨示した。
⇒
起訴前及び起訴後第1回公判期日前までは、勾留に関する処分を行う裁判官が、移送命令に関する職権発動をする立場になる。
第1回公判期日後に移送命令の職権発動をする主体?
A:裁判長
←刑訴規則80条が検察官の移送に対して同意を与えるのは裁判長としていることの権衡。
B:裁判所(第1回公判期日以降は)
←職権による移送も、本来的には勾留に関する判断主体と同一の主体が行うべき。
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