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2013年1月26日 (土)

光市母子殺害事件第二次上告審判決

最高裁H24.2.20
   
死刑の量刑が維持された事例

<事案>
当時18歳の被告人が、白昼、配水管の検査を装ってアパートの一室に上がり込み、 同室に住む当時23歳の主婦を強姦しようとしたところ、激しく抵抗されたため、同女を殺害したうえで姦淫し、その後、激しく泣き続ける当時生後11か月の同女の長女をも殺害し、さらに、右主婦管理の地域振興券在沖の財布1個を窃取した、殺人、強盗致死、窃盗の事案。

本件は、2度目の上告審判決。

<原審>
「本件において死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるかどうかにつき更に慎重な審理を尽くさせるため」本件を原裁判所に差し戻すとした第一次上告審判決を受け審理。 

「姦淫の目的を遂げるため、被害者を殺害して姦淫した上、いたいけな乳児をも殺害した各犯行の罪質は、極めて悪質であり、2名を死亡させた結果も極めて重大であること、極めて短絡的かつ自己中心的な犯行の動機や経緯に酌むべき点は微塵もないこと、各犯行の態様は、強固な犯意に基づく冷酷、残虐にして非人間的なものであること、両名を殺害した後、窃盗をしたほか、罪証隠滅工作をするなど、犯行後の情状の芳しくないこと、遺族の被害感情は峻烈を極めていること、社会的影響も大きいことなどの諸般の事情を総合考慮すれば、被告人の罪質はまことに重大であって、各殺害の計画性が認められないこと、被告人の前科・非行歴、生育環境、犯行当時18歳になって間もない少年であること、精神的成熟度、改善更生の可能性、その他第一審判決後の事情等、被告人のために酌量すべき諸事情を最大限考慮しても、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも、極刑はやむを得ない」

<判断>
弁護人の上告趣意について、憲法違反、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、適法な上告理由に当たらない。
⇒上告棄却。 

量刑について、
各犯行の罪質の悪質さ、動機及び経緯、犯行態様の冷酷さや残虐さ、結果の重大性等の諸事情に照らすと、被告人が犯行時少年であったことなどの酌むべき事情を十分考慮しても、被告人の刑事責任は余りにも重大であって、原判決の死刑の科刑は、是認せざるを得ない。

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

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