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2012年12月25日 (火)

支払料金拡大防止のための通知等による注意喚起をする義務

京都地裁H24.1.12   

電気通信事業者が消費者と締結した携帯電話を利用する電気通信役務提供契約中のインターネット通信サービス利用料が予想外の高額となったことにつき、利用する消費者に対し、その支払料金拡大防止のための通知等による注意喚起をする義務を怠ったとして、消費者に対する債務不履行による損害賠償責任が認められた事例

<事案>
・・・アクセスインターネットの利用料金は、「パケットし放題」の対象となるサービスではなく、「パケットし放題」に加入している利用者についても月々の通信料金の上限額が定められていなかった。

Xは、右通信料金に関し、Yに対し、
①本件契約における通信料金を定める契約条項のうち一般消費者が前記サービスを利用する際に通信料金として通常予測する額である1万円を超える部分は、消費者契約法10条若しくは公序良俗に反し無効であると主張して、不当利得の返還を請求し、または、
②Yが、本件契約に関し、Xに対し、アクセスインターネットを利用する際の通信料金を具体的に説明する義務若しくはアクセスインターネットの利用により通信料金が高額化することを防止するための措置を採るべき義務の履行を怠ったと主張して、本件契約の債務不履行による損害賠償を請求。

<規定>
消費者契約法 第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

<判断>
①本件契約中の通信料金に関する条項は消費者契約法10条前段が定める要件には該当しない。
②公序良俗違反の主張も否定。
③Yは、本契約上の義務として、Xがアクセスインターネットを利用するに先立ち、同サービスを利用することにより高額な料金が発生する可能性があることにつき、情報提供をする義務を負う。
本件では、Yは本件契約に基づき要求される範囲の説明・情報提供をしたと認めるのが相当。

④Yは、本件契約条の付随義務として、Xの予想外の通信料金の発生拡大を防止するため、右パケット通信料金が発生した事実をメールその他の手段によりXに告知して注意喚起をする義務を負う。

Yは、遅くともXのアクセスインターネットの利用によるパケット通信料金が5万円を超過した平成20年3月30日午後8時の段階において、Xが誤解や不注意に基づきアクセスインターネットを利用し、通信料金が予想外に高額化したことを容易に認識したといえるから、Yは、遅くとも同月31日午後7時までには、Xに対し、パケット通信料金が5万円を超過していることをメールその他の方法により、Xに通信料金の高額化に関する注意喚起をする義務があった。

Yは右義務があるにもかかわらず、Xの累積パケット通信料金が10万円を超過した翌日である同年4月1日になって初めて、その旨の警告メールを原告に送信

Yには右義務違反があるとして、同年3月31日午後7時以降に発生した通信料金相当額(15万3055円)についてはYの債務不履行と相当因果関係にある損害として、その限りでXの請求を認容(過失相殺3割)。

<解説>
本件は、携帯電話の加入者が利用したサービスに関して高度の請求を受けた事案について、電気通信役務を提供する通信事業者が加入者に対する通信料金の高額化に関する注意喚起をする義務違反があったとして、加入者に対する損害賠償を認めた例。 
総務省及び消費者庁は、平成22年3月18日付けで「携帯電話の契約時のトラブルと消費者へのアドバイス」を公表しており、その中で、定額制プランに加入していても、パソコンに携帯電話をつないでインターネットに接続する場合は、定額制プランの対象外となる場合があることが指摘されている。

http://www.simpral.com/hanreijihou2012kouhan.html

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