« 刑訴法448条2項による刑の執行停止決定に対する不服申立ての方法 | トップページ | 参議院議員定数訴訟大法廷判決 »

2012年12月28日 (金)

児童ポルノと「公然と陳列」

最高裁H24.7.9   

児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の「公然と陳列した」には当たらないとする反対意見が付された事例 

<事案>
被告人が、共犯者と共謀のうえ、第三者が開設したインターネット上の掲示板に記憶、蔵置された児童ポルノを、共犯者が管理運営するホームページ上にその識別番号(URL)を明らかにするなどして、不特定多数のインターネット利用者にいて閲覧可能な状況を設定し、児童ポルノを公然と陳列したという事案 

<規定>
児童ポルノ法 第7条(児童ポルノ提供等)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

1審:犯罪事実を認定⇒懲役8月(執行猶予3年)及び罰金30万円
原判決も控訴棄却。

<判断>
適法な上告理由には当たらない⇒上告棄却。
それ以外には、何ら判断を示さなかった。 

多数意見が原判決の法令適用の適否等については何ら判断を示さなかったものであって、法令適用等について原判決の判断を是認したと捉えることは相当ではない。
but
刑訴法411条による職権判断を示さない多数意見には賛成できないとして、大橋裁判官の反対意見。
 
<解説>
最高裁H13.7.16:
刑法175条にいうわいせつ物を「公然と陳列した」とは、その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい、その物のわいせつな内容を特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にするまでのことは必ずしも要しない

児童ポルノ法7条4項にいう「公然と陳列した」とは、児童ポルノの内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい、児童ポルノの内容を特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にすることを要しない。

一審・原審:
本件の行為が児童ポルノ画像を不特定又は多数の者が認識できる状態に置いたといえる(一審)。
当該ウェブページの閲覧者がその情報を用いれば特段複雑困難な操作を経ることなく本件児童ポルノを閲覧することができ、かつ、その行為又はそれに付随する行為が全体としてその閲覧者に対して当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものということができる⇒児童ポルノ公然陳列罪に該当(原審)。

山口厚:
「「公然陳列」とういために自らわいせつ情報を蔵書したのでなくとも、リンクを張ることによって「わいせつ情報への認識可能性」を設定した以上「公然陳列」に当たると十分いいうる」
反対説もあり。

http://www.simpral.com/hanreijihou2013zenhan.html

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 刑訴法448条2項による刑の執行停止決定に対する不服申立ての方法 | トップページ | 参議院議員定数訴訟大法廷判決 »

判例」カテゴリの記事

刑事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 児童ポルノと「公然と陳列」:

« 刑訴法448条2項による刑の執行停止決定に対する不服申立ての方法 | トップページ | 参議院議員定数訴訟大法廷判決 »