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2012年10月25日 (木)

情報公開法の利益侵害情報

情報公開請求訴訟において不開示となった情報が、情報公開法5条2号イの利益侵害情報に当たるかどうかは、当該情報の性質、内容、当該情報に係る法人の性格等の諸般の事情を総合勘案して個別具体的に判断するしかない。

最高裁H23.10.14:
(1)
①本件数値情報は、もともと本件各事業者の内部において管理される情報としての性質、
②その内容も、会社単位のデータではなく工場単位のデータであるという点で個別性が高く、法令で定められた詳細なもの(原油、灯油等燃料の種類も細かく規定されている)であって何ら加工されていない原データを示すもの
③経済的な比較分析も可能
⇒競業者、需要者、燃料等供給業者において、有利に用いることができる。

(2)法体系全体としての整合性。
温暖化対策推進法において、本件数値情報より抽象度の高いエネルギー起源二酸化炭素に係る事業所単位各物質排出量についても、事業者の権利利益等に配慮して他の数値による公表・開示を認めているにもかかわらず、本件数値情報が容易に開示されることになれば、右のような温暖化対策推進法における仕組みが実質的に意義を失うことにもなりかねない。

(3)罰則をもって本件数値情報の報告が義務づけられている⇒各事業者としては右の不利益を回避できない。

本件数値情報は情報公開法5条2号イの利益侵害情報に当たると判断。

判断基準については、情報公開法5条2号イの利益侵害情報該当性は、その文言に照らして処分行政庁の裁量判断に委ねられるべきものではなく、客観的に判断すべきもの(塩野)。
⇒最高裁はあえて理由を差し替えて上告を棄却。

<規定>

情報公開法 第5条(行政文書の開示義務)
行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。

二 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

 

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