2018年5月26日 (土)

砂川事件再審請求即時抗告審決定

東京高裁H29.11.15    

<事案>
●いわゆる砂川事件の差戻後確定判決につき提起された再審請求事件の再審棄却決定に対する即時抗告審決定
 
●砂川事件:
昭和32年7月8日、元被告人らが、正当な理由なくアメリカ軍使用区域である立川飛行場内に立ち入った
⇒日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反に問われた。

第1審:
アメリカ軍の駐留が憲法9条2項前段に違反⇒刑事特別法が憲法31条に違反して無効⇒無罪
検察官からの跳躍上告(刑訴規則254条)

最高裁:
第1審は「裁判所の司法審査権の範囲を逸脱」
⇒無罪判決を破棄し、東京地裁に事件を差し戻した。

差し戻し後の第1審は本被告人らに罰金2000円の有罪判決を宣告し、控訴審および上告審の裁判を経て確定。

平成20年以降、
米国立公文書館に保管されていた資料から、当時、最高裁長官である砂川事件を審理していた田中耕太郎裁判官が、アメリカ合衆国駐日大使らと数次にわたって接触し、砂川事件に関する裁判情報を伝えてたことが明らかになった

本被告人およびその遺族は、開示された外交電報および航空書簡等を新証拠として、田中裁判官を裁判長とする最高裁大法廷は憲法37条1項の「公平な裁判所」ではなかったので、大法廷破棄判決に拘束される立場にあった確定審裁判所としては、実体審理を行うことができず免訴判決をすべきであった。
⇒刑訴法435条6号に基づき再審免訴を求めた。

 
<主張> 
最大判昭和47.12.20(高田事件)が、
憲法37条1項の「迅速な裁判を受ける権利」が侵害されたと認められる異常な事態が生じた場合には、非常救済手段として、憲法37条1項により審理を打ち切ることができ、その方法は免訴は免訴判決によるとした先例に依拠し、
砂川事件における憲法37条1項の「公平な裁判所による裁判を受ける権利」の侵害も、刑訴法337条各号に定める免訴事由以外の非類型的免訴事由にあたると主張。
 
<規定>
刑訴法 第337条〔免訴の判決〕
左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
一 確定判決を経たとき。
二 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
三 大赦があつたとき。
四 時効が完成したとき。

憲法 第37条〔刑事被告人の諸権利〕
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

刑訴法 第338条〔公訴棄却の判決〕
左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
一 被告人に対して裁判権を有しないとき。
二 第三百四十条の規定に違反して公訴が提起されたとき。
三 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。

刑訴法 第435条〔再審請求の理由〕 
六 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
 
<原決定>
「免訴判決の理論的な可否」について問題となりうることを認識しながら、
証拠の新規性を認めたが、
①田中裁判官の駐日大使等との接触は司法行政事務を総括する立場の最高裁長官としての固有の権限内の行為であった
②発言内容は一般論や抽象的な説明であり一方当事者に有利に偏重するようなないようでない

田中裁判官が不公平な裁判を行う虞があったと合理的に推測することはできない。
⇒再審請求を棄却。
 
<判断> 
刑訴法435条6号の再審免訴事由は同法337条各号に定められた免訴事由に限定されるものであり、非類型的免訴事由は認められない。 
 
高田事件最高裁判決について、本判決は、
A:憲法的免訴説:
極めて例外的な特殊事件の救済のため憲法37条1項を直接の根拠とした超法規的免訴であって、刑訴法337条に非類型的免訴事由を認めたものではない
に立つことを明言。

憲法37条1項の「公平な裁判所による裁判を受ける権利」の侵害を理由とする再審免訴の請求は、そもそも刑訴法337条各号の再審事由に該当しない

砂川事件を審理した最高裁大法廷が「公平な裁判所」を構成していなかった事実を証明するために提出した証拠の新規性および明白性を判断するまでもなく、再審請求は認められないと結論づけた。
 
<解説>
本決定は、 非類型的免訴事由による再審請求は認められない
⇒原決定が法律問題を「留保」して、先に、最高裁大法廷が「公平な裁判所」を構成していなかったといえるかという前提事実につき判断を加えた手法を「不適切」とする。
but
学説が分岐している法律問題を一旦棚上げにしたうえで、通常の6号再審請求の場合と同様に、立証命題に関する提出証拠の新規性と明白性の判断から始めるという手法が必ずしも「不適切」であったとはいえない

高田事件最高裁は寝k津の位置づけを憲法的免訴と理解したとしても、
刑訴法435条6号の再審免訴事由を同法337条各号の免訴事由とは別位に理解し、同条各号の免訴事由に加えて憲法的免訴を読み込むことも可能
論理必然的に前記法律判断を先行させるべきであったとは断定できない。

判例時報2364

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2018年5月22日 (火)

特許法184条の4第4項所定の「正当な理由」

知財高裁H29.3.7      
 
<事案>
控訴人(一審原告)は、平成23年9月15日、発明の名称を「フラッシュ様式での光の不連続な供給がある場合の混合栄養単細胞藻類の培養方法」とする発明につき、優先日を平成22年9月15日とし、フランス国特許庁を受理官庁として、国際特許出願(本件出願)。
国内書面提出期間の経過後である平成25年5月21日に明細書等翻訳文などを提出することにより、国内書面に係る手続
but
特許長官より、国内書面提出期間内に明細書等翻訳文の提出がなく、指定国である我が国における本件出願は取り下げられたものとみなされるとして、本件手続を却下する旨の本件処分。

控訴人には国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなくなったことについて、特許法184条の4第4項所定の「正当な理由」があるとして、本件処分の取消しを求める事案。
 
<規定>
特許法 第184条の4(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)
4 前項の規定により取り下げられたものとみなされた国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に当該明細書等翻訳文を提出することができなかつたことについて正当な理由があるときは、その理由がなくなつた日から二月以内で国内書面提出期間の経過後一年以内に限り、明細書等翻訳文並びに第一項に規定する図面及び要約の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
 
<判断> 
控訴人が国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかったことについて、「正当な理由」があるということはできない⇒控訴棄却。 
 
特許法184条の4第4項所定の「正当な理由」の意義を解するに当たっては、
①特許協力条約に基づく国際出願の制度は、国内書面提出期間内に翻訳文を提出することによって、我が国において、当該外国語特許出願が国際出願日にされた特許出願とみなされるというもの
同制度を利用しようとする外国語特許出願の出願人には、自己責任の下で、国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することが求められる
②国内書面提出期間経過後も、当該外国語特許出願が取り下げられたものとみなされたか否かについて、第三者に関し負担を負わせることを考慮すること
を考慮する必要。

特許法184条の4第4項所定の「正当な理由」があるときとは、
「特段の事情のない限り、国際特許出願を行う出願人(代理人を含む。)として、相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかったとき」をいうものと判断。

本件出願に係る手続の委任を受けた特許事務所が、本件出願の処理に当たり、移行期限を徒過しないよう相当な注意を尽くしていたということはできない
⇒同項所定の「正当な理由」があるということはできない
 
<解説>
特許法条約(PLT)において手続期間の経過によって出願又は特許に関する権利の喪失を惹起した場合の「権利の回復」に関する規定が設けられ、加盟国に対して救済を認める要件として「Due Care」(相当な注意)又は「Unintentional」(故意でない) のいずれかを選択することを認めており(PLT12条)、
同規定に沿った諸外国の立法例として、例えば、欧州においては「Due Care」基準を選択。
日本は当時PLTに未加盟であったが、国際的調和の観点から、外国語特許出願の出願人について、期限の徒過があった場合でも、柔軟な救済を図ることにしたもの。

判例時報2363

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2018年5月21日 (月)

容易想到性についての判断が問題となった事例

知財高裁H29.3.21      
 
<事案>
X1は、発明の名称を「摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット」とする特許出願をし、設定登録を受けた(本件特許)。
X2は、本件特許権の一部を譲り受け、特定承継を原因とする一部移転登録をした。
Yの特許無効審判請求について、特許庁は、特許請求の範囲請求項1、5ないし7及び9に係る発明についての特許を無効とする審決。
(本件発明一は、引用発明一及び引用発明二等に基づいて当業者が容易に発明をすることができた)

Xらは、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起し、取消事由として、容易想到性の判断の誤りを主張。
 
<判断>
相違点五(本件発明一が、エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれ、摩擦熱により前記インキの筆跡を消色させる摩擦体が、筆記具の後部又はキャップの頂部に装着されてなるのに対し、引用発明一は特定していない点)
に係る容易想到性の判断の誤りを指摘し、本件審決を取り消した。

両発明(引用発明一と引用発明二)は、その構成及び筆跡の形成に関する機能において大きく異なる。
⇒当業者において引用発明一に引用発明二を組み合わせることを想到するとはおよそ考え難い。

仮に、当業者が引用発明一に引用発明二を汲ん見合わせたとしても・・・引用発明二の摩擦具九は、筆記具とは別体のもの。

当業者において両者を組み合わせても、引用発明一の筆記具と、これとは別体の、エラストマー又はプラスチック発泡体を用いた摩擦部を備えた摩擦具九(摩擦体)を共に提供する構成を想到するにとどまり、摩擦体を筆記具の後部又はキャップの頂部に装着して筆記具と一体のものとして提供する相違点五に係る本件発明一の構成に至らない。

仮に、当業者において、摩擦具九を筆記具の後部ないしキャップに装着することを想到し得たとしても、
引用発明一に引用発明二を組み合わせて「エラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれた、摩擦熱により筆記時の有色のインキの筆跡を消色させる摩擦体」を筆記具と共に提供することを想到した上で、
これを基準に摩擦体(摩擦具九)の提供の手段として摩擦体を筆記具自体又はキャップに装着することを想到し、
相違点五に至る本件発明一の構成に至る。

このように引用発明一に基づき、二つの段階を経て相違点五に係る本件発明一の構成に至ることは、格別な努力を要するものといえ、当業者にとって容易であったということはできない
 
<説明>   
特許庁の審決と判断を分けた点: 

引用発明一(主引用発明)と引用発明二(副引用発明)は、その構成及び筆跡の形成に関する機能において大きく異なる
当業者において引用発明一に引用発明二を組み合わせることを発想するとはおよそ考え難いとした点。

主引用例と副引用例を組み合わせて本件発明に至るためには、これを組み合わせる動機付けが必要

動機付け有無の判断
~両発明の技術分野の関連性、課題の共通性・作用や機能の共通性、引用例に適用の示唆があるか否か等の点から、構成の組合せを阻害する要因があるか否かも含めて、、総合的に検討するのが現在の実務。
 
●当業者において引用発明一に引用発明二を組み合わせても、引用発明一の筆記具と、これとは別体の、摩擦部を備えた摩擦体を共に提供する構成を想到するにとどまり、摩擦体を筆記具の後部又はキャップの頂部に装着して筆記具と一体のものとして提供する相違点に係る本件発明の構成には至らない、とした点。 

主引用発明に副引用発明を組み合わせた場合に、相違点に係る本件発明の構成に至らなければ、容易に想到できたものとはいえないが、これは、副引用発明をどのように認定するか、という点にもかかわる問題。

引用発明を上位概念化・一般化して認定することは、常に誤りとはいえないが、これが許されるのは、本件発明との対比における特徴的部分に相違がないような場合に限られよう。
そうでなければ、本来、正しく認定した当該副引用発明だけでは本件発明に想到できない場合にも、容易に想到できるという判断になりかねない。

 
●さらに、引用発明一に基づき、二つの段階を経て相違点5に係る本件発明一の構成に至ることは、格別な努力を要するものといえ、当業者にとって容易であったということはできない、とした点。 

主引用発明と副引用発明を組み合わせることを想到し得たとしても、両発明を組み合わせた上で、さらに本件発明に至るためにさらにもう一段の周知技術等を組み合わせるといった判断手法は許されない。
 
判例時報2363

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2018年5月20日 (日)

特殊詐欺の事案で「だまされたふり作戦」の場合の「受け子」の詐欺罪の成否

名古屋高裁H28.9.21(①事件)
福岡高裁H29.5.31(②事件)      

<事案>
特殊詐欺の事案で、犯人と思しき者からの電話を受けて不審に思い、警察に相談した被害者が、警察の依頼を受け、だまされたふりをして、模擬現金ないし空の荷物を準備し、受け取りに来た現金受取役に交付しあるいは指定された送付先に送付て、これを受け取った直後の受取役を警察官が検挙(「だまされたふり作戦」)。 

◆①事件
<事案>
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、氏名不詳者が複数回にわたり当時81歳の男性被害者方に電話をかけ、電話の相手が被害者の息子であり現金300万円を至急必要としているので、被告人方に宛て現金を送付してもらいたい⇒同人が警察に相談し、模擬現金を発送。 
 
<一審>
被告人が共犯者から現金受取の依頼を受けた時点で、被害者は詐欺に気付いて模擬現金入りの荷物の配達依頼をしていた
⇒詐欺の結果発生の現実的危険は既に消滅しており、その段階で詐欺未遂の共謀が成立する余地はない
⇒無罪 
 
<判断>
不能犯と同様の判断方法により、被害者が既に警察に相談して模擬現金入りの荷物を発送したという事実は、被告人及び共犯者らが認識していなかったし、一般人が認識し得たともいえない
この事実は詐欺未遂の結果発生の現実的危険の有無の判断に当たっての基礎事情とすることはできない。

被告人について共謀が認められるのであれば詐欺未遂罪が成立する余地がある
(本件では共謀を否定して控訴棄却) 
 
◆②事件
<事案>
被告人は、氏名不詳者らと共謀の上、当時84歳の女性被害者がロト6に必ず当選する「特別抽選」に選ばれたことによって当選金を受け取ることができると誤信しているのに常時、同人から現金をだまし取ろうと考え、氏名不詳者が電話で被害者に対し、150万円を支払えば「特別抽選」に参加できる旨のうそを言ってその旨誤信させ、同人から現金の交付を受けようとしたが、同人が警察に相談し、現金が入っていない箱(本件荷物)を発送したためその目的を遂げなかった。
⇒現金受取役として起訴。 
 
<判断>
欺罔行為の終了後に財物交付の部分のみに関与した者についても、本質的法益(個人の財産)の侵害について因果性を有する⇒詐欺罪の共犯と認めていい。
その役割の重要度⇒正犯性も肯定できる。
承継的共同正犯を肯定。 

被告人が加担した段階で法益侵害に至る現実的危険性があったかを判断するに当たっては、一般人が、その認識し得た事情に基づけば結果発生の不安を抱くであろう場合には、法益侵害の危険性があるとして未遂犯の当罰性を肯定してよく
敢て被害者固有の事情まで観察し得るとの条件を付加する必要性は認められない。

本件でだまされたふり作戦が行われていることは一般人において認識し得ず、被告人ないし共犯者も認識していなかった
⇒これを法益侵害の危険性の判断に際しての基礎とすることは許されない。

被告人が本件荷物を受領した行為を外形的に観察すれば詐欺の既遂に至る現実的危険性があった

被告人に詐欺未遂の共同正犯が成立。
 
<解説>
●特殊詐欺に後発的に参加した場合と承継的共同正犯 
被害者に対する欺罔行為が行われた後、はじめて犯行に加担し、被害金の受取行為のみに関与した者を詐欺罪の共同正犯として処罰できるか?
=承継的共同正犯の成否

最高裁H24.11.6:
他者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後、被告人が共謀に加わり、更に被疑者に暴行を加えて傷害を相当程度重篤化させた
被告人は、被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については傷害罪の共同正犯としての責任を負わず、共謀に加わった後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ傷害罪の共同正犯としての責任を負う

千葉補足意見:
承継的共同正犯において後行者が共同正犯としての責任を負うかどうかについては、強盗、恐喝、詐欺等の罪責を負わせる場合には、共謀加担前の先行者の行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち、犯罪が成立する場合があり得る⇒承継的共同正犯の成立を認め得る。
 
●いわゆる「だまされたふり作戦」が行われ詐欺が未遂に終わった事案において、財物交付の部分のみに関与した共犯の罪責 
 
◎不能犯と同様の判断手法を用いるべきか
承継的共同正犯の成立を認める場合、だまされたふり作戦が行われた事案で財物交付の部分のみに関与した者について詐欺未遂罪の成立を認めることができるか否かは、受け子の受領行為によって詐欺未遂罪の結果(=詐欺の結果発生の危険性)が生じたといえるかによって定まる。

だまされたふり作戦が実行された段階においては、被害者は錯誤に陥っておらず、警察に協力して模擬現金等を発送しているにすぎない⇒詐欺罪が実現する可能性は客観的には全く存在しない。
=不能犯の成否が問題となる場合と類似。
 
◎未遂犯と不能犯の区別
具体的危険説:
行為当時に行為者が実際に認識していた事情及び一般人が認識し得たであろう事情を基礎とし、一般人の立場から事後的かつ客観的に犯罪実現の危険性の有無を判断
 
●②事件につき、最高裁H29.12.11で詐欺未遂罪の成立を肯定。 

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2018年5月19日 (土)

児童の姿態が撮影された写真の画像データを素材としたCGについての児童ポルノ等処罰法の事案

東京高裁H29.1.24      
 
<事案>
被告人が、不特定又は多数の者に提供する目的で、児童の姿態が撮影された写真の画像データを素材としてコンピュータグラフィックス(CG)を作成し、そのCG集をインターネットを通じて不特定又は多数の者に販売したという、児童ポルノの製造及び提供の事案。 
 
<規定> 
児童ポルノ等処罰法 第2条(定義)
この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
 
<判断>
●本件CGが「児童の姿態」(2条3項)を描写したものといえるか
児童の権利侵害を防ぐという児童ポルノ等処罰法の趣旨
実在する特定の児童を描写したといえる程度に製造されたものとその被写体が同一である場合には、その児童の権利侵害が生じ得る

必ずしも、被写体となった児童と全くの同一の姿態、ポーズでなくても、「児童の容姿」に該当する。

通常の判断能力をもつ一般人が、社会通念に照らして、実在する児童と同一であると認識できる場合には、当該描写行為等が処罰の対象となることを認識できる
⇒刑罰法規の明確性を害しない。

表現の自由との調整の必要性を認めた上で、
その判断基準としては、
当該画像等の具体的な内容に加え、それが作成された経緯の作成の意図等のほか、その画像等の学術性、芸術性、思想性等も総合して検討し、
性的刺激等の要素が相当程度緩和されていると認められる場合には、
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」には当たらない。
本件CGはそのような観点から児童ポルノ該当性が否定されるとはいえない。
 
●児童ポルノを製造した時点、及び法施行の時点において、18歳未満であることを要するか? (本件は、昭和50年代に出版された少女の写真集等を基に作成)
①児童ポルノ等処罰法が、児童ポルノの製造行為を児童に対する一種の性的搾取ないし性的虐待とみなし、児童の承諾があるときも含めて一律に児童ポルノとして規制を及ぼしている

同法の保護法益は、
個別の児童の具体的な権利にとどまらず、
児童一般の保護にも及んでおり、
さらには、
未熟で判断能力が十分でない児童を保護するという後見的見地から、
現に児童の権利を侵害する行為のみならず、
児童の性欲の対象として捉える社会的風潮が広がるのを防ぐことにより、
将来にわたって児童に対する性的搾取ないし性的虐待を防ぐという意味での社会的法益
の保護も含まれる。
②製造等の時点で被写体が既に18歳未満でなくなっていたとしても、児童ポルノとしていったん成立した画像等は、児童の権利侵害が行われた記録として、児童ポルノの性質が喪われることはなく、法施行の時点で既に児童でなかったとしても、法が規制しようとした前記のような危険性は同様

いずれの場合も処罰の対象となり得る

●タナ―法という性発達の評価方法について、
基本的な理論の合理性自体は是認した上で、限界もあることを前提に、
身体全体の発達の程度も加味して検討するという原判決の判断手法を概ね是認。 

判例時報2363

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2018年5月18日 (金)

学校法人が設置・運営する大学における勤務延長教員の年俸額を減額する給与支給内規の変更が無効とされた事例

札幌地裁H29.3.30      
 
<事案>
本訴:
学校法人Yとの間でそれぞれ雇用契約を締結し、Yが私立学校法に基づき設置・運営するA大学において教員として勤務し、あるいは勤務していたXらが、
①Yが行った本件大学における勤務延長教員の年棒額を最大で4割減額する給与支給内規の変更は、合理性なく就業規則を不利益に変更するものとして無効⇒
Yに対し、旧内規又は労働協約に基づき、本件内規変更により減k額された差額部分の未払給与及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、
Xらの一部の者らが、将来分の賃金の支払も請求
②Yの違法な内規変更により精神的苦痛を被った⇒民法709条に基づき、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた。

反訴:
仮本件内規変更全体の合理性が認められないとしても、本件内規変更が段階的に年俸制を減額する限度で合理性が認められることによりその一部が有効
⇒本件内規が一部有効であることの確認を求めた
 
<争点>
①本件反訴の確認の利益の有無
②本件内規変更の合理性の有無
③本件内規変更を一部無効とする判断の可否 
 
<規定>
労働契約違法 第九条(就業規則による労働契約の内容の変更)
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

労働契約法 第一〇条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
 
<判断>
●本件内規変更は無効⇒
本件内規変更により減額された差額部分の未払給与及びこれに対する各月の給与支給日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
賃金の支払の確保等に関する法律6条1項に基づく遅延損害金の支払を求める請求は棄却。
Xらの一部の者らの将来賃金の支払を求める訴えは却下。
 
●慰謝料請求について:
本件内規変更が社会通念上著しく相当性を欠くものとしてXらに対する不法行為を構成するとはいえない⇒棄却。 
 
●Yの反訴請求: 
Xらの口頭弁論終結時において既に本件大学をを退職している者らに対する訴え:
同人らが本件大学を退職したことにより、Yが同人らに対して負う未払賃金請求権の内容は既に確定⇒確認の利益を欠く不適法な訴えであるとして却下。

その余の請求:
本件内規経脳が部分的に合理性を承認し得るものであったとしても、一部有効とする部分を労使間の法律関係を規律するのに相当なものとして特定するための客観的基準は存在しない

裁判所が本件内規変更の一部につき効力を認めることは相当でなく、結局、本件内規変更は全体として無効。
 
<解説>
●本件内規変更が就業規則の不利益変更に当たると認定し、
本件内規変更の合理性(労契法9条、10条参照)の有無に関し、
賃金、退職金など労働者にとって重要な労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の変更につき、
当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずる。(最高裁H9.2.28)

上記最高裁も総合考慮するとした
使用者側の変更の必要性の内容・程度
就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、代償措置の有無
代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
労働組合等との交渉の経緯等

高度の必要性に基づく合理的なものであったとすることはできず、本件内規変更は無効。

●千葉地裁H20.5.21は、不法行為の成立についても肯定し、
精神的苦痛に対する慰謝料の支払請求も認容。 

●国立大学法人の就業規則の変更による退職手当の減額措置の合理性が問題となった裁判例
~国家公務員退職手当法の改正等に準じて支給水準が引き下げられたものであり、本件とは事案を異にする。

判例時報2363

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2018年5月17日 (木)

司法修習生の給費制の廃止が争われた事案

大分地裁H29.9.29      
 
<事案> 
67期司法修習生であった原告らが、
平成16年改正法による裁判所法の改正によって、いわゆる給費制を廃止したことは、憲法に違反し無効であると主張⇒被告に対し、同改正前の裁判所法67条2項に基づき、未払給与の内金の支払を求め
内閣総理大臣が、平成16年改正法案を国会に提出する等した行為及び国会議員が平成16年改正法を立法した行為は、いずれも国賠法違反であると主張⇒同法1条1項に基づく損害賠償金の内金の支払を求めた。
 
<争点>
①平成16年改正法は、憲法上の要請である給費制を廃止した点で、違憲無効であるか
②平成16年改正法は、憲法27条1項及び2項に違反し、違憲無効か
③被告の国賠法上の責任の存否
④原告らの損害
 
<判断>
●争点①について: 
憲法は法曹養成制度の在り方について明文の規定を欠いている上に、法曹養成制度の在り方について具体的に示唆する規定も有しない
具体的な法曹養成の在り方については、立法に委ねられている

そのあり方については、その制度設計によって、国民の多くが法曹三者を志すことを断念せざるを得ず、司法制度が、憲法から要請される機能を維持できなくなる場合など、司法制度が実効的に機能するための人材を育成し、法曹三者の相互理解を深めるという法曹養成の目的に照らし、著しく不合理な制度であるといった特段の事情がない限り、立法の裁量に委ねられていると解するのが相当。

給費制の廃止は、給費制の廃止に至る議論の内容や経緯等に照らし、著しく不合理とはいえない⇒違憲であるとはいえない。
 
●争点②について 
憲法27条1項にいう「勤労」に該当するためには、使用者の指揮監督下において労務の提供をすることが必要であり、
労務の提供に当たる行為は、他者のための労務の遂行という性質を有するものをいい、
専ら教育的な性質のみを有し、教育を受ける者の研さんのみを目的とする行為は含まれないと解するのが相当。

司法修習生については、司法修習生の権限、司法修習の具体的内容及び司法修習生の身分等に鑑み、
専ら教育的な性質を有し、司法修習生の研さんのみを目的とするものというべきであり、
他者のための労務の遂行という性質を持つとは考え難く、
国に対する労務の提供には当たらない
判例時報2363
 

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2018年5月16日 (水)

市の設置管理する公園に関する使用許可申請に対する不許可決定が違法とされた事案

大阪高裁H29.7.14       
 
<事案>
中小業者の営業と生活の繁栄を図ることを目的とする団体であるXが、
Y(松原市)の設置管理する本件公園につき使用許可申請
⇒Yの市長がこれを不許可

本件不許可決定は集会の自由を定める憲法21条1項に違反し、かつ、市長の裁量権を逸脱濫用したものであり、違法であると主張し、Yに対し、国賠法1条1項に基づき、231万円余の損害賠償金の支払を求めた。 
 
<一審>
本件不許可決定は違法⇒Yに対して、90万6200円の支払を求める限度で、請求を認容。
 
<判断>
都市公園という本来独占的利用のみを前提とした施設でない公の施設であっても、集会等の催しのための独占的利用が元々の都市公園の設置目的から外れるとは解されない
Yの審査基準に定めた市の後援・協賛の許可という要件は、公園の占有利用の許可を決定する要件としては不要であり、有害にもなりかねない。
③その他の原判決の判断の通り。

Yの控訴を棄却。 
 
<規定>
地方自治法 第244条(公の施設) 
普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない

3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
 
<解説>
地自法244条2項⇒本件公園についての利用申請は正当な理由が無い限り拒否できない。
Yにおいては、公園の使用許可について審査基準を設けているところ、「市の協賛・後援の許可」を要件。
but
一般に、施設の利用を拒む「正当の理由」とは、
使用料を支払わない場合、利用者が施設の定員を超える場合、その者に施設を利用させると他の利用者に著しく迷惑を及ぼす危険が明白な場合等がこれに当たるとされる。

最高裁H8.3.15:
「管理上支障があると認められるとき」も「正当の理由」に当たるものとした。
but
市の協賛・後援の許可がないことは、「正当の理由」に当たらない。

判例時報2363

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2018年5月14日 (月)

刑法19条2項(没収)の「犯人以外の者に属しない物」の該当性判断における心証の程度(=確信まで必要)

大阪高裁H29.6.8    
 
<事案>
被告人2名が、氏名が特定された共犯者7名及び氏名不詳者らと共謀の上、
金地金130キロ(130枚)及び腕時計589個(課税価格合計約10億7040万円(「本件物件」))を不正に輸入しようとするとともに、消費税等を免れようとしたが未遂に終わった、関税法違反等被告事件の控訴審。 

原審の第1回公判期日後に、参加人が、自らが本件物件の所有者であるとして刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法に基づく参加の申立て。
 
<規定>
刑法 第19条(没収)
次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
2 没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
 
<原判決>
本件物件は、密輸の犯罪行為の組成物件であり、その実質的な所有者は密輸入についての香港側業者あるいはこれに密輸入を依頼した荷主とみるのが相当であって、これらの者は共犯者に当たる
⇒本件物件は、「犯人以外の者に属しない物」に当たるとして没収。 
   
参加人のみが控訴
 
<判断> 
本件密輸の背景事情に関して、
被告人を含む密輸の上位者グループは、香港側業者とは若干の若干の接触がある程度で、もっぱら香港側の元締め的立場にあるD7(共犯者の1人として挙示されている。)を介してコミッション料の決定や提供等を受けており、
密輸を依頼した香港側業者とD7の関係、あるいは荷主の人物像や物件の調達元等の事情は証拠上明らかでない。 
本件物件につき、「犯人以外の者に属しない物」と認定するには合理的疑いがある⇒原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある
⇒原判決中、前記没収に係る部分を破棄。
 
<解説> 
●没収の要件に関する事実:
A:厳格な証明を要する(多数説)
←刑罰権の存否あるいはその範囲を定める事実 
没収要件に関する事実は、
それが罪となるべき事実に含まれるか、あるいは犯罪事実と不可分の事実であれば厳格な証明を要し、加えて当該事実の認定については、特段の理由がない限り、確信(合理的な疑いを容れない程度の証明)を要すると考えるのが、一般的な理解。
 
●本件没収の要件に関わる事実は、
本件物件が密輸の組成物件であり、かつその物の所有関係は犯罪事実の共犯関係と密接不可分のもの
罪となるべき事実に属する
厳格な証明と、確信(合理的な疑いを容れない程度の証明)が必要

所有者が、正規業者を装った密輸業者に騙されて輸出手続を依頼したり、輸出を依頼した業者から更に密輸業者に委託される場合等もあり得る
⇒こうした可能性があることも十分に踏まえた上で、香港における物件の調達状態等の点につき、より詳細な事実解明がされるべき。

その場合、検察側は、没収求刑の前提として、密輸品の送付元(外国)側の取引・交渉事情等について捜査及び立証の負担を負う事案が増加する可能性があり、捜査・立証に諸々の困難が伴う。

原審検察官:
①参加人が主張する内容の契約につき、密輸を前提としなければ相手方に経済的合理性がない、とか、契約書等が作成されていないのが不自然である等、主に経験則の観点から主張し、あるいは、
②参加人が提出したインヴォイス(仕送状)の作成の真正にも疑問を提示
but
本件判決は、検察官によるこれらの主張をいずれも排斥。

経験則等による主張を超えた、より具体的な立証のあり方を模索する必要に迫られる

判例時報2362

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2018年5月13日 (日)

窃盗保護事件で少年を第一種少年院に送致する決定が不当であるとされた事案

東京高裁H29.2.9      
 
<事案>
少年が大型ショッピングモール内の雑貨店で万引きした事案。
被害額がさほど高額でなく、被害品が全て還付された比較的軽微なもの。 
 
<原審>
①万引きの手慣れた態様と、2回の万引きによる保護歴の存在
⇒この種の非行に対する抵抗感の薄さがうかがえ、現時点で非行性が大きく進んでいるとは言えないが、資質上の問題が顕在化すれば、再非行のおそれが高い。
②少年にはその資質上の問題性があるほか、母及び養父は少年に拒否的な対応を続け、仮定での引き取りを拒否しており保護環境は悪い。

付添人が主張する施設の受入れによっても、現時点では、少年が社会内で自律的な生活を送りながら更生していくことは困難。

第一種少年院送致を相当。

短期間の処遇勧告。
←少年が明確な枠組みの中では従順であり、一定の理解力を有することから、短期集中的な処遇により相当の効果が期待できる。
 
<判断>
原決定は、少年の要保護性及び社会内処遇の可能性に関する評価を誤っており、第一種少年院送致とすることは、短期間の処遇勧告を伴っていたとしても、処分の相当性を欠いており、著しく不当
⇒原決定を取り消して、本件を原審支部に差し戻した。
 
<解説>
少年の非行性は必ずしも深化しているとまではいえないが、看過できない問題性が認められる一方、
適切な保護環境や社会資源が見出せない事案は、
実務上珍しくない。
更生の手がかりとなる保護環境や社会資源がうかがえるのであれば、その利用の余地がないかは十分検討されるべき。 

判例時報2362

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