2012年5月19日 (土)

「企業不祥事の初期対応・・・企業の自浄作用と監査役の視点」のメモ

監査役協会の講演を終えての自分用のメモ

<●視点>
①(法的に)しないといけない場合⇒義務であり(不履行の場合)法的責任発生、と②してもしなくてもいい場合(義務ではないプラスアルファ。各人の工夫と裁量。)の区別を意識する必要。

①法的レベルと②法律外(社会的責任等)のレベルの区別を意識する必要。

<●監査役について>
監査役の役割は取締役等の職務執行を「監査」(=法令・定款違反または著しい不当性の有無のチェックと指摘)すること。

取締役の裁量的判断一般の当否のチェック(妥当性監査)は含まれないが、①取締役の善管注意義務違反の有無は監査対象であり、②不当な判断は善管注意義務違反につながる⇒「妥当性」にかかわる事項についても監査権限は及ぶ。

<●内部統制(リスク管理体制)>
健全な会社経営のためには、①「リスク管理」が必要であり、②それは人が変わってもワークするよう「システム」で行う必要がある。だから、健全な会社経営を行う立場にある取締役には、その善管注意義務として、リスク管理体制を整備する義務がある。

金融商品取引法は、資本市場の適正性を確保するための法律であり、そこで要請される内部統制は、「情報開示の適正性」を確保するためのもの。それは、(健全な会社経営を行うべき)取締役の善管注意義務を具体化した、会社法上の内部統制とは趣旨を異にする。

リスク管理体制に基づいて職務執行に対する監視が行われている以上、特段の事情のない限り、監視義務を内容とする注意義務違反に問われることはない(ヤクルト株主代表訴訟控訴審判決 東京高裁H20.5.21(判例①))。(「監視義務」の履行も「システム」による。)

リスク管理体制構築義務について、「通常想定される不正行為を防止できる体制」を構築することが求められ、特別の事情が存在しない限りこれを超える体制を構築すべきことまでは義務付けられない(日本システム技術事件 最高裁H21.7.9(判例②))。

新たな法律、社会意識の変化、ITの進化、現行のシステムを超える不正
⇒内部統制システムは「改善」されていくべきもの。

<●不祥事発生の場合の対応の責任>
不祥事に関与していなくても、それを知った取締役・監査役がしかるべき行動をとらなかった場合、(多額の)任務懈怠責任が問われ得る(ダスキン事件 大阪高裁H18.6.9(判例③))。

不祥事発生時の対応については、経営判断の裁量の幅は限られる。

(農業協同組合の)代表理事に一任していたという「内部慣行」は監事(会社での監査役に対応)の免責のためのエクスキューズにはならない(最高裁H21.11.27(判例④))。

不祥事の兆候を知った場合、取締役に対して一定の対応を求めるほか、監査役としてもとるべき対応を注意深く検討する必要がある。

情報収集・調査等について専門家の知見を信頼した場合、当該専門家の能力を超えると疑われるような事情があった場合を除き、善管注意義務違反とはならない(江頭)。

<●経営判断の原則>
経営判断について善管注意義務に違反しないとされるためには、①当該行為が経営上の専門的判断にゆだねられた事項についてのものであること、②意思決定の過程に著しい不合理性がないこと、③意思決定の内容に著しい不合理性がないことの3つが要求される(アパマンショップ最高裁判決 H22.7.15)。

③の「意思決定の内容」は、価値判断の面がある⇒事後的に「不合理」だと断定されにくい。
②の「意思決定の過程」は、判断に必要な調査やリスク検討を行わない場合等、「不合理」と判断され得る。

<●不祥事発生時における監査役のスタンス>
監査役の役割は取締役等の職務執行を「監査」(=法令・定款違反または著しい不当性の有無のチェックと指摘)すること。つまり「非正常」をチェックし「正常」からの逸脱を阻止し、また「正常」に戻すこと。
⇒企業不祥事発生時の対応は、監査役の中心的職責。

<●私見>
企業不祥事が生じた場合「企業としてどうすべきか」「企業として何がベストか」の視点。

企業≠役員(企業のためにベストの選択が、役員にとって厳しい選択となり得る。)。
企業のための選択≠目先の痛みがない選択(ex.ダスキンの「積極的には公表しない」という選択。)。

「法的義務」に違反しなければ「法的責任」は問われない。
but法的責任がなくても、企業は批判にさらされるし、つぶれることもある。

企業は、社会や経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない(ドラッカー)。

企業が存続を許されるためには「社会的責任」を果たさなくてはならない。
①役員は企業に対して責任を負う。②企業は社会的責任を果たさないと存続できない。⇒役員は社会的責任を意識する必要がある。

(法的責任の有無にかかわらず)企業が社会に与えた負のインパクトに対応することは、企業の「社会的責任」。

不祥事が生じた場合、事実の「隠ぺい」は不可。
「公表」は企業がコントロールする。

「消費者の利益>会社の(短期的)利益」という価値基準。
異物混入の脅迫状が届いた翌日に記者会見し、250万個の目薬を全品回収した参天製薬の対応。

原因究明と再発防止策の導入とその公表

企業不祥事が発生した場合、監査役は、①その「不祥事について」事実関係の把握に努めるとともに、②それに対する「取締役や調査委員会の対応について」監視し検証する(ステージ1)。

①企業に調査の適格性がない場合((i)取締役が不祥事に関与し「調査主体=調査対象」となる場合や(ii)利害関係故に適性な調査ができない場合等)、②企業による調査では毀損した信頼の回復が期待できない場合、「第三者委員会」の設置を勧告(ステージ2)。

①第三者委員会が要請される場合であるのに会社が動かない、あるいは②会社が立ち上げた第三者委員会の構成が不適切
⇒監査役自らが依頼し第三者委員会を立ち上げる(ステージ3)。
その場合「監査(=法令・定款違反または著しい不当性の有無のチェックと指摘)」のための第三者委員会と立ち上げという位置づけとなる。

「第三者委員会」の意味は、日弁連ガイドライン(企業等から独立した委員のみをもって構成)と監査役監査基準(一定の外部者が関与)では異なる。

①企業の内部調査委員会と②純粋の第三者委員会(日弁連のガイドラインのもの)の間に中間的なバリエーションがあり得る。

「委員会選択」についての取締役の選択が「著しく不当」(監査役が指摘する義務が生じる場合)に該当することは限られるが、会社にとって「ベスト」ではない選択であることは十分あり得る。
監査役が、企業にとってベストな対応方法について、積極的に「提言」すべき場面。

「委員会選択」についての考慮要素:
① 結果の重大性(被害金額・被害者の数・信頼性毀損の程度・上場廃止の可能性等)
② 関与者(従業員、役員、トップ)
③ 社会的インパクトの大きさ(マスコミによる報道)
等を考慮して「企業にとってベストな対応」を考える。

監査役の第三者委員会への就任:
監査役が善管注意義務違反を問われ得る場合(不祥事に関与、不祥事を知って対応せず)⇒就任不可。
社外のステークホルダーからの監査役への不信感(監査役も疑われている場合)⇒就任はしない方が良い。

第三者委員会の多面性:
① 費用がかかる。
② 会社からの「独立性」故に、信頼される。
③ 「独立性=会社はコントロールできない。
④ 調査結果は開示される⇒役員等の責任追及に利用され得る。
⑤ 第三者委員会の誤認定の可能性。

<●その他>
法律や社会状況がかわれば、役員の善管注意義務の具体的な中身も変わってくる。

法的責任の判断は明確なものではない。その不安定性と不明確性(裁判官によっても判断が異なり得る。)。⇒事後的に法的責任ありとされる「リスク」を減らす。

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2012年2月 4日 (土)

事前規制の限界 社外取締役?

大王製紙やオリンパスの不祥事をうけ、社外取締役の制度が議論されているが、企業に無駄なコストを強いることになるだけの気がする。オリンパスでは社外取締役が機能しないどころか、不祥事に加担していたという報道もある。既に、社外監査役の制度があり、その上の社外取締役など、屋上屋を架すことになるだけのような気がする。

そもそも、包丁を使って犯罪が起こるからといって、包丁を規制するのはナンセンス。それとも、包丁による犯罪をなくすため、包丁の使用に監視人を置くことを義務付ける?

「事後」規制に委ねられるべき部分はあり、それを「事前」規制にとりこもうとすれば、大きな非効率性が生じることになる。

「コーポレートガバナンス」という言葉が注目されるようになった当時、新聞に載っていた、「器を整えても中身がかわらなければ意味がない」という趣旨の稲盛和夫氏の言葉が強く印象に残っている。

その後、米国で、スタンフォード大学の教授などガバナンスの専門家を社外取締役に揃え、コーポレートガバナンスのお手本だと言われていたエンロンは破綻した。
そんな問題だらけの米国の制度をありがたがって輸入するのはそろそろやめた方がいい。

事前規制にはおのずと限界があるのであり、それで不祥事をなくそうとすれば、日本企業はまたもやバカげたコストを払わされることになる。既に内部統制の導入で大きな負担を強いられているが、制度を変更するにしても、「費用対効果」の視点をとりいれ、企業に負担が生じない形ですべきだろう。

その真意が、円高で四苦八苦している日本企業に更なる足枷をはめることにあるなら知らないが・・・・・。

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2012年2月 3日 (金)

保険でリスクをカバーするには

取引の相手方が保険に入っても、それでこちらのリスクがカバーされるわけではない。こちらの過失で相手方に損害が生じた場合、相手方は保険会社に払ってもらえるが、保険会社はこちらに請求してくることになる(保険法25条)。こちらのリスクをカバーするにはこちらで保険に入る必要がある。

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事業者の個人再生(個人民事再生)

事業者が個人再生(個人民事再生)をする場合、買掛金の処理がネックとなる。再生委員をつけることによって、開始決定を遅らせ、申立後の事業に不可欠な負債として共益債権化の許可をもらうことでクリアできる場合がある。

 

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真の再生とは

自己破産をしても解決にならない。本当の問題(=自分)を解決しなければ、再び多重債務に陥るだけ。本当の問題を解決するには、自分(の考え)を変えるしかない。

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現実と理想

弁護士としての能力ではなく、宣伝広告で左右されるという現実がある。
「仕事と研鑽に注力⇒実績を出す⇒それで顧客が集まる」というのが理想的なパターン。

 

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2011年11月18日 (金)

企業統治の視点

今日の日経新聞にも、「企業統治を聞く」というタイトルで、監査役会だけではダメ、社外取締役や委員会設置会社が好ましいという意見が掲載されている。しかし、オリンパスは社外取締役が違法処理をアドバイスしていたし、米国で破綻したエンロンは、スタンフォード大学教授を初め多くの社外取締役を招き、コーポレート・ガバナンスの模範と言われていた。

どんなに予防しても、社会に犯罪はなくならない。処罰や事後的な責任追及という、事後規制に委ねるべき部分がある。企業の役割は「企業統治」ではない。企業の競争力は重要であり、「費用対効果」を考える必要がある。不正があるからといって、「重い制度」にするというのは、方向性として間違っていると思う。

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2011年9月26日 (月)

弁護士の役割

弁護士の役割は、依頼者の問題解決であり、その努力は、問題解決能力の向上に向けられるべきもの。判例のフォローによるリーガルマインドの向上や、尋問技術、交渉手法等の勉強もそのためのもの。

今は、法律事務所の宣伝広告が氾濫しているし、今の弁護士過剰の状況を考えるとそれも理解できるが、「人」ができることは限られる。

①「仕事」や「問題解決能力の向上」と②「宣伝広告」の双方をすることができないのであれば、前者(①)に注力すべきだろう。それが「弁護士の役割」であり、依頼者に提供する「価値」なのだから。

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2011年8月25日 (木)

光星学院の問題について・・・マスコミの責任

選抜で準優勝した光星学院の一部の野球部員の飲酒等の問題が、ネットで叩かれている。
彼らはまだ高校生。
良くないことではあるが、飲酒をしたことがある高校生は結構いるだろうし、見つかっても相応の処分で終わる。

彼らが叩かれているのは、そのしたことのためではない。
マスコミに持ち上げられたがために叩かれる。

マスコミは、高校野球を連日放映し、高校生をスター選手のように持ち上げる。
震災をからめて美談をつくり、これでもかと放映する。
そんな扱いをされたら、当の高校生に「勘違いするな」という方が無理だろう。

甲子園に出場する高校球児をスターのように持ち上げ、報道価値を徹底的に高める。
不祥事がでると、野球部員がブログに掲載していたという写真まで掲載して、今度は叩く。
持ち上げようが、叩こうが、新聞や雑誌が売れ、テレビの視聴率もとれる。

そして、高校野球が終り、彼らに報道価値がなくなれば、潮が引くようにマスコミはいなくなる。
取り残されるのは、勘違いした高校生。

最近も、高校野球の準優勝投手の窃盗事件が報道されていたが、加害者はマスコミ、被害者は高校生。
「応援するふりして高校生を利用するのはいいかげんにしろ!」と言ってやりたい。

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2011年7月27日 (水)

「専門家」には他の分野の勉強も必要

「専門家」は、その分野に精通する必要があるが、それ以外にその分野を「外から」眺めることもできないといけない。
他の分野を勉強し理解することによって、その分野の「特性」や「問題点」がクリアになる。
また、その分野とは異なる、他の分野での「発想」や「思考方法」を持ち込むことによって、八方ふさがりの状況を打開できる場合もある。

逆説的ではあるが、本当の意味での「専門家」であるためには、他の分野も勉強する必要がある。

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